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» 2019年03月12日 08時10分 公開

スピン経済の歩き方:「バイトは教育で真人間にしろ」が、ブラック企業につながる理由 (2/8)

[窪田順生,ITmedia]

現状よりも深刻な事態を引き起こす恐れ

 こういう日本のカルチャーを鑑みれば、これからこの手の「勉強会」がわっと増えていくのは明白だ。バイト従業員がトラブルを起こした外食やコンビニが脊髄反射で、大戸屋メソッドを真似て、「全店閉めて、勉強会やります!」と言い出すからだ。

 そう聞くと、「バカで非常識な若者がどんどん教育されるんだから、いいことじゃん」と思う人も多いだろう。もちろん、悪いことではない。むしろ、筆者のように、メディアトレーニングなどの社内研修を生業(なりわい)とした人間からすれば喜ばしい限りで、企業の皆様はじゃんじゃかSNS研修でもやってもらいたいとさえ思う。

 が、そういう我欲をちょこっと脇に置き、こういう流れが長い目で本当に、日本社会のためになるかを考えてみると、あまり浮かれてばかりもいられない。現状よりももっと深刻な事態を引き起こす恐れがあるのだ。

 何かあるとすぐ研修だ、勉強会だという風潮になると、だだでさえ、過重労働やパワハラなどが指摘されている外食やコンビニの「ブラックぶり」にさらに拍車がかかってしまうからだ。

 なぜそんな皮肉な現象が起きるのか。理由は主に3つある。

(1)企業や学校ではこれまでの「SNS教育」に力を入れてきた

(2)「マジメに働くバイト」ほどモチベーションが下がる

(3)ただでさえ「覚えること」が山ほどあるバイトの仕事を増やす

 まず、(1)は既にSNSの専門家などが指摘しているが、これまでも全国チェーンを運営する企業などではこういう研修や勉強会をやっていなかったわけではない。むしろ、それなりにちゃんとやってきている。特に力を入れたのが、2013年のバカッター騒動後だ。

 「夏ごろからアルバイトが、店内の悪ふざけをインターネットに投稿する問題が相次いだ。店側は商品の廃棄にとどまらず、閉店を迫られるケースも出ている。このため、アルバイトの質向上と離職率の低下を狙い研修に力を入れる外食も多い」(日本経済新聞 2013年10月26日)

 さらに言えば、小中学校や高校などではずいぶん昔からSNS教育が行われている。つまり、今回問題を起こした若者たちというのも、既に何かしらの研修や勉強会を受けてきているのだ。

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