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» 2019年03月12日 08時10分 公開

スピン経済の歩き方:「バイトは教育で真人間にしろ」が、ブラック企業につながる理由 (3/8)

[窪田順生,ITmedia]

ブラック企業への道を突き進む

 知識ゼロ、危機意識ゼロで何も分かりませーん、という者への「教育」は大きな意味がある。しかし、既に教育を受けている者に、これまでとさほど変わらぬ教育を施したところで、一体どれだけの効果があるのかは甚だ疑問なのだ

 「だからこそ、これまでよりもさらに厳しく教育して、性根から叩き直してやるのだ」という声が聞こえてきそうだが、そのような精神論へ傾倒しがちだからマズいのである。

 ブラック企業の特徴の一つに、「厳しい研修」がある。創業者のポリシーを大声で朗読させたり、フィロソフィーを暗唱させ、できなかったら罵声が飛ぶ。なんて感じで、効果の疑わしい研修や勉強会に固執して、やたらと精神論を強調していくのは、ブラック企業への道を突き進むことになるのだ。

 このような危険性に加えて、研修や勉強会が溢れると、バイトの離職を招く恐れもある。(2)の『「マジメに働くバイト」ほどモチベーションが下がる』という問題が起きるからだ。

 おバカな動画が何度もリピートされているので、外食やコンビニはああゆう愚かな若者ばかりかと勘違いされてしまうが、あれはほんの一握りで、ほとんどの若者たちはこれまで受けてきた研修や、学校で受けたSNS教育を胸に刻んで、バカな投稿をするわけでもなく、マジメに働いている。

 では、この大多数のバイト従業員は、今回のように何か問題があったら「全従業員強制参加」の研修や勉強会が開かれるのが当たり前になったら、どう思うだろうか。

 いくら時給が支払われるとはいえ、自由を拘束されてさして興味のない勉強をさせられることなど苦痛以外の何物でもないのではないか。このあたりの理不尽さは、子どものときも誰もが味わった「連帯責任」を思い出していただきたい。

 例えば、小中学校で一部の不良学生が起こした事件や問題のため、体育館で「全校集会」なんてのが開かれる。校長をはじめ、教師が代わる代わるマイクを握って、「これはみんなの問題だ」と延々とお説教する。真剣に聞いていた人もいらっしゃるかもしれないが、ほとんどの人はこんな風に文句を言っていたはずだ。

 「あーだるい。なんで一部の人間がやったことで、こっちまで迷惑をかけられるんだよ」

 これとまったく同じ不満が、「マジメなバイト」の間に、たまっていく恐れがあるのだ。

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