東京の鉄道路線に欠けているものは、何か「タテ」が足りない(1/4 ページ)

» 2019年03月14日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

 多摩モノレールは開業20周年ということで、大々的にキャンペーンを行っている。3月23日には、開業以来初となる本格的なダイヤ改正を行い、利便性が高まる。

 東京の交通網は、都心から郊外に向かうものは充実しているのに対し、周辺それぞれを結ぶ交通網が充実しておらず、山手線の外側を出ると、環状路線は少なく、細かな移動はバスにたよることになっている。

 そんな中で、多摩モノレールは地域の交通機関として定着し、支持されている。こういった「タテ」の交通機関が、もっと必要なのではないか。

多摩の「タテ」の交通を充実させた多摩モノレール

 京王電鉄の電車に乗っていると、車内で「他路線の駅に行く際はバスを使うと便利であり、主要駅からどれくらいの頻度で出ているか」という案内広告を目にする。

 実際、筆者の住んでいる調布から、JR東日本の中央線沿線方面に出かけるには、バスで行ったほうが便利、ということがよくある。例えば調布から府中まで京王線、府中から国分寺までバスというのは、筆者が所沢方面に用事がある際によく使うルートである。国分寺からは、西武国分寺線だ。

 このあたりに鉄道があったら、とよく考える。その意味では、多摩モノレールや東急世田谷線といった近郊部分の利便性は、大いに認めるものである。

 多摩モノレールができたために、立川方面から中央大学や明星大学に通いやすくなったり、沿線から京王電鉄やJR東日本中央線、西武拝島線を利用して都心に行きやすくなったり、という効果が出ている。

 鉄道の駅がなく、バスの本数も少ないために不便だと感じさせられているエリアも、多摩地区には結構ある。その証拠に、駅から離れてバス便だと家賃が下がる傾向がある。

 その意味では、モノレールや路面電車などの、中規模な交通機関が多摩エリア、あるいは23区西部の杉並区や練馬区、または東部の江東区や江戸川区にあってもいいと考える。

 実際に、東急世田谷線はいつ乗っても混雑しており、座ることが難しい。世田谷線は営業係数(100円の収入を得るために要した費用を示す指標)こそ厳しいものの、乗客は多く、地域から支持されていることは実感できる。また多摩エリアの「タテ」を結ぶバスも、平日の昼間でも乗車人数は多い。このあたりの整備が必要だと、痛感させられる。

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