東京の鉄道路線に欠けているものは、何か「タテ」が足りない(2/4 ページ)

» 2019年03月14日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

鉄道のネットワークは広がるか

 多摩モノレールの延伸は、現在でも検討されている。上北台からJR八高線箱根ケ崎までの計画もあれば、多摩センターから町田に向かう計画もある。どちらも、公共交通の充実が求められているエリアを走行することになる。

 調整は進められているものの、具体的な工事などは、行われていない。町田は、横浜や八王子に行くのが便利で、都心とも小田急で直結しているものの、ほかの多摩エリアとの交通は、少し不便なものがある。むしろ神奈川エリアへのアクセスのほうに、利便性のリソースが割かれている。

地域に密着した公共交通・東急世田谷線

 東京の「タテ」を結ぶ鉄道の計画には、さまざまなものがある一方で、予算をどうするかの課題により、実現されないものが多い。例えば、「エイトライナー」「メトロセブン」だ。エイトライナーは、環八通りの地下を利用し、羽田空港と赤羽を結ぼうとするものである。メトロセブンは、環七通りの地下を利用し、赤羽と葛西臨海公園を結ぶ。両者は赤羽で接続する。

 このエリアで環状交通ができれば、鉄道空白地帯を解消し、「タテ」の移動を容易にすることが可能になり、地域内での交流の活性化が可能になるというメリットがある。

 東京エリアの場合、山手線を中心にして放射状に鉄道網が広がっていて、網目のようになっていない。だから、人が集まる際にはどうしても都心が便利になる。

 ただこのあたりの地域では、用地買収の困難さや、特に23区東側エリアの場合、地下鉄にした場合の地盤の軟弱さなどが課題としてある。もちろん、建設費もかかる。普通の地下鉄にするか、大江戸線のようにリニア地下鉄にするかも、検討課題である。

 ほかにも、東京メトロ有楽町線の豊洲から住吉への延伸という計画もある。こちらは、有楽町線仕様の設備を設けなくてはならない。

 こういったエリアでは、バスが公共交通の主役として活躍している。しかしバスは、渋滞に巻き込まれるなどのデメリットもある。

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