トヨタとJAXAの宇宙探査、「月」を選んだ背景宇宙ビジネスの新潮流(3/3 ページ)

» 2019年03月22日 06時15分 公開
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人類初の月面着陸から50周年

 19年はアポロ11号による人類史上初の有人月面着陸から50周年であり、国際社会の中で月に注目が集まりつつある。JAXAやNASAだけではなく、欧州ではESA(欧州宇宙機関)もMoon Villageという有人の居住・滞在拠点を作ることをかつてより掲げている。

 民間企業も積極参加している。米Amazonの創業者であるジェフ・ベゾス氏率いる米Blue Originは17年に月着陸船の開発を発表、18年には月面に恒久的な拠点を作ることを掲げている。また同社はESAとも連携して「Moon Race」という新たな賞金レースを立ち上げることを発表した。

Moon Raceの公式サイト Moon Raceの公式サイト

 こうした中、今回の協業の第一段として月が選ばれたことは改めて注目と言える。他方で、宇宙ビジネスという観点で考えると、多々ある市場セグメントの中でも月探査・開発などは時間を要する分野だ。月までの輸送手段や探査機の開発が目下の課題であるが、その後は月面基地の建設などのインフラ構築などが控える。今後の発展を中長期的な視点で見ていきたい。

著者プロフィール

石田 真康(MASAYASU ISHIDA)

A.T. カーニー株式会社 プリンシパル

ハイテク・IT業界、自動車業界などを中心に、15年のコンサルティング経験。東京大学工学部卒。内閣府 宇宙政策委員会 宇宙民生利用部会 委員。日本初の民間宇宙ビジネスカンファレンスを主催する一般社団法人SPACETIDE共同創業者 兼 代表理事。日本発の民間月面無人探査を目指すチーム「HAKUTO(ハクト)」のプロボノメンバー。著書に「宇宙ビジネス入門 Newspace革命の全貌」(日経BP社)。

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