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» 2019年03月22日 06時15分 公開

宇宙ビジネスの新潮流:トヨタとJAXAの宇宙探査、「月」を選んだ背景 (1/3)

JAXAとトヨタ自動車が国際宇宙探査ミッションでの協業の可能性を検討。2018年5月より共同検討してきた燃料電池技術を用いた月面での有人探査活動に必要なモビリティ「有人与圧ローバー」の検討を進めていくという。

[石田真康(A.T. カーニー),ITmedia]

トヨタとJAXAが宇宙探査で連携

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車は国際宇宙探査ミッションでの協業の可能性を検討する。3月12日にその合意を発表した。2018年5月より共同検討してきた燃料電池技術を用いた月面での有人探査活動に必要なモビリティ「有人与圧ローバー」の検討を進めていくという。

 両社の発表によると、ローバーは全長6メートル、全幅5.2メートル、全高3.8メートルとマイクロバス2台分ほどの大きさがあり、宇宙飛行士が2人滞在可能な空間を持つ。水素と酸素を満充電することで1000km走行可能だ。さらにはトヨタがこれまで培ってきた自動運転技術や人工知能技術なども貢献できるという。

「有人与圧ローバー」(トヨタ自動車プレスリリースより) 「有人与圧ローバー」(トヨタ自動車プレスリリースより)

トータル走行距離は1万キロを想定

 注目を集めたのは動力源として想定している燃料電池だ。今回は酸素と水素を地球から持参する予定とのことだが、他方で将来的には地産地消を考えている。月に眠る水資源の利活用が昨今話題を呼んでいるが、いずれは水資源を電気分解し、それをもとに燃料電池で発電を行うということだ。

 実際の運用は29年から34年を想定。2台の有人与圧ローバーをタンデム運用するという。5カ所が探査領域として挙がっているが、国際的に建設計画が進む月周回軌道上の居住拠点「Gateway」とも連携して、探査領域は都度有人走行を行い、探査領域間は無人走行をするという。トータルでの走行距離は1万キロに及ぶ。

 今回の発表には昨今の宇宙産業を取り巻く時代背景を感じる。1つ目は宇宙探査への異業種関連技術の利活用という観点、2つ目は政府系宇宙機関と民間企業による協力という観点、3つ目が、今回の協業の第一段として想定されているのが月探査である点だ。

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