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【第8回】会議は踊る、されど進まないのはなぜか「働き方改革」プロジェクトリーダーを命ず(2/3 ページ)

» 2019年04月04日 07時00分 公開
[柳剛洋ITmedia]

会議の訓練をしない日本企業

竹中: 会議にルールを設定する会社は少なくありません。ある会社では、定時の5分前終了を義務付けています。移動と次の予定の準備時間を確保して、遅延の連鎖と増殖を防ぐのが狙いです。

滝柄: いわゆる共有会議は、全廃すべきなのでしょうか。

竹中: 機械的に全廃する必要はありません。企業も人間で形成されている以上、顔を合わせて共有した方がいい場合もあります。上長がメンバーの様子を観察する機会を兼ねているケースなどですね。

でも、テレビ会議化して移動を無くす、開催頻度を減らす、会議の中で単純に情報共有に充てている部分を事前に済ませて時間を短くする、先ほどの観察の機会は他のイベントに統合して共有会議とは分離する、などなど打ち手はいくらでもあります。

滝柄: 会議運営も課題だらけです。リード役、ファシリテーターを置く習慣もないですし、そもそもゴールもはっきりしないことが多いです。なんとなく始まって、結局声の大きい人や上席者の一言で決まった感じになるか、一人ずつ順番に報告していって終わるかどちらかでしょう。日野下さん、経企の部会はいかがです?

日野下: 耳が痛いです。まさに何となく始めて私が共有したいことを話して質問受けて終わっています。

竹中: 日本企業では、会議の訓練をしないですからね。スキルが低いんです。でも、ちゃんとポイントを押さえて練習すればいい会議ができるようになりますよ。ただし、組織をあげて取り組むことが重要です。若手のリーダーにファシリテーションを教えても、部長が「お前、何カッコつけてんだ」とか言った瞬間に台無しです。

 ある会社では、中堅社員向けにトレーニングを必須化するだけではなく、部長以上の管理職全員に、500人以上いましたが、ポイントを解説する会に出てもらいました。社長も含め全員です。

資料作成で浪費されるエネルギー

日野下: 会議の開催にあたっては、資料作成の占めるウェイトも高いですね。「うちの部署独特の伝統」みたいなのがあって、しかもそれが人によって微妙に違うから、それぞれの部門長に合わせた作法になってしまっています。

竹中: 資料でよくあるのは、課長説明用→部長用→執行役員用→取締役用と同じ資料を作り直していく弊害ですね。膨大に無駄なエネルギーを投じているわけですが、組織の生活習慣ですから気付かないのです。

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