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「お金に振り回される人」と「お金で幸せになる人」の決定的な違い「お金」と「仕事」の本当の話をしよう(2/4 ページ)

» 2019年04月12日 05時00分 公開

事業投資で全財産を失ってしまう際の心理

 筆者は一文無しになる億万長者とそうでない億万長者の差は「投資リスク管理力」だと考える。シンプルに言えば、「勇敢な勝負」と「無謀なばくち」を履き違えてしまう人たちだ。そして後述する通り、この能力差はより奥深い「人生哲学」に根差している場合が多い。

 筆者の友人にA氏がいる。彼は自分で興した会社をM&Aで売却し、億単位の現金を手に入れた。急に羽振りがよくなり、モデルやアナウンサーとのデートを楽しみだした。上場までは多忙でろくな趣味もなかった彼が、上場後は旅をして気に入った土地の不動産や絵画コレクションに投資し、ホテル暮らしを楽しんだ。そして、たまに気に入ったベンチャー企業に遭遇するとそこに小口投資をして、またもうけていた。

 そうした生活にも飽きた彼は、数年前、新たにスマホアプリ系ベンチャーを起業した。しかし、世間はそう甘くない。これまで外部投資家から数十億円の出資を取り付けて頑張ってきたが、その運転資金もいまやなくなりつつある。GAFAに代表される大手企業が類似サービスを展開しており、売り上げも伸び悩む厳しい状況だ。

 A氏は最近、最後の頼み綱だった投資家に出資を断られた。しかし、既存株主への恩義、これまで必死に頑張ってくれたチームのメンバー、そして自分の信念を捨てるわけにもいかず、彼は私財の大部分を投げうって先行きが心配な事業を継続させている。A氏の個人資産があとどれくらい残っているかを私は知らないし聞きたくもない。ただし現在、会社も彼の表情も、悲壮感あふれる不安な状況だ(個人を特定されないように、いくつかの事実を改変している)。

photo こんなぜいたくをしてもすぐに飽きてしまう(提供:ゲッティイメージズ)

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