「10連休」が日本のためにならない、やっぱりの理由スピン経済の歩き方(4/5 ページ)

» 2019年05月07日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「連休」を増やしてはいけない

 だからこそ、「連休」を増やしてはいけない。むしろ、減らすべきだ。国が定めた公休が少なければ、自然と有給休暇を取得する心のハードルも低くなる。労働者の有給消化が常識となれば、日本人の休み方に多様性が生まれる。

 職種によって繁忙期も違うので宿も取りやすい。観光地も空いているので、これまでのように行列に並んだり、渋滞でイライラしたりという時間のムダが削減できるので、もっと深い観光を満喫できるのだ。

 国が決めた「国民一斉休暇ウィーク」で大混雑の中でヘロヘロになる休み方より、4兆円分の有給休暇を用いて個々が好きなタイミングで、好きなように過ごす休み方のほうが、生産性的にも、労働者のメンタルヘルス的にも遥かにメリットが多いのだ。

 ということを言うと、必ずといっていいほど「連休で日本中が特需で盛り上がったじゃないか! 日本経済のためにも連休は必要だ!」とか主張する方がいるが、そのように国民を一斉に休ませて、一斉に消費活動をさせる、みたいな「統制経済」が通用したのは、人口が右肩上がりで増えていた時代くらいまでの話である。

 国内観光客はこれから急速に減少していく。連休で生み出せる特需の効果もどんどん薄れていく。

 そういう打ち上げ花火的な施策ではなく、その地域にしかない観光資源を生かして、1年を通して、国内外の観光客が継続的に訪れるようにしなくては、これからの日本の観光業は生き残ってはいけない。大分の別府など、外国人観光客が安定的に訪れている地を見れば、それは明らかだ。

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