なぜあの商品は売れた? 行列研究所が謎に迫る
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» 2019年05月14日 05時00分 公開

長浜淳之介のトレンドアンテナ:大阪が誇る「スーパー玉出」 毎日「1円セール」をしてももうけが出る仕組みに迫る (3/5)

[長浜淳之介,ITmedia]

2タイプのスーパー玉出が存在する

 店舗の分布にも特徴がある。淀川より北には淀川店と東淀川店があるだけだ。新大阪よりさらに北に位置する吹田市や豊中市といった大阪市外の北摂地域に入ってくると、街の雰囲気が変わってくる。「成城石井」や「いかりスーパーマーケット」のような高級イメージのあるスーパーが似合うような場所は、スーパー玉出に似つかわしくない。

 一方で、大和川より南に位置する泉州地域の堺市・泉大津市・岸和田市や、大阪市の東にある守口市・八尾市といった北河内地域には駐車場が付いた郊外型の店を有しており、営業時間は午前9時から午後9時くらいまでとなっている(一部除く)。都心型の24時間営業店とは顧客層が微妙に異なり、顧客単価も若干上がってくるという。顧客の来店頻度も2〜3日に1度くらいとなる。

 つまり、地域に合わせて2タイプのスーパー玉出があるのだ。人口密集地域では24時間営業を行い、半径800メートルのエリアをターゲットとしている。一方で、郊外では車での移動を前提に、半径1.5〜2キロ圏内がターゲット。その範囲内にチラシをまいて集客に努めている。

1円セールのからくり

 スーパー玉出名物の「1円セール」は、1000円以上買った顧客が特定の商品を1円で購入できるというもの。その内容がチラシに書かれており、チラシの告知を見て顧客が来店するわけだ。

 1円で購入できるのは、1人1回に限られる。1000円以上買わなければサービスを利用できない。これが薄利多売、激安商法の肝だ。1円の商品を入手するために、多くの顧客が1000円分以上の商品を購入する。「商品1円」の効果は極めて高く、大量に1円以外の商品が売れるので利益が確保できている。1円セールの対象商品は毎日変わるので、ファンはついつい毎日行きたくなるのだ。

photo 目を引く1円セール

 スーパー玉出のチラシは週に2〜3回配られるだけでなく、各種Webサイトにもアップされる。チラシの配布日には公式Webサイトのアクセス数が2〜3倍に急増する。

 1円セールの対象によく選ばれるのは、飲料、麺類、豆腐、ソース、菓子、バナナ2本セット、石けんなどで、これらを織り交ぜて販売している。

 スーパー玉出は1円セール用の商品を集める商談会を毎週水曜日に開催する。賞味期限が迫っているが、在庫処分に経費を使うくらいなら1円ででも売り切ったほうが良いと判断するような商品を、食品メーカーは抱えているものだ。メーカーと持ちつ持たれつの関係で、残念ながら過剰在庫になってしまったが、世に問うべき商品を消費者に知ってもらう機会として、1円セールが活用される側面もある。

 1円セールは「新商品の販売」「キャンペーン商品の試食」「サンプル配布の代わり」に使われるケースもある。そのため、「ウチの商品を1円で売るとはけしからん!」とメーカーから叱られることはないわけだ。1円で売ったからといって、スーパー玉出が大赤字になるわけでもない。

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