さすがにここまで予測が外れるとは誰も想像できなかったのではないだろうか? どうやればそれほど外せるのかかえって興味がわく。
引当金を見積もるための業界標準の計算方法は、以下の手順の通りだ。大雑把にいうと、過去のデータからどれくらい過払い金を返還することになるか計算するのだが、それをローン残高がある口座(正常口座等)とない口座(完済済み口座等)に分けて行うのがポイントだ。
※(参考資料・業種別委員会実務指針第37号 消費者金融会社等の利息返還請求による損失に係る引当金の計上に関する監査上の取扱い 日本公認会計士協会 2006/10/13 改正2012/5/15)
この計算の最大の問題は、ローン残高がある口座については、完済までの過払い金返還だけを見積もる点である(手順2)。ややこしい話に聞こえるかもしれないが、要するに完済したからといって過払い金の問題は終わるわけではない。それどころか完済して時間がたつほど利息に利息がついて雪だるま式に過払い金が増えるという、貸し手にとってはトンでもない、借り手にとっては美味しい仕組みになっているわけだ(詳細は後述)。図でいえば、黄色部分の過払い金返還は見積もられるが、グレー部分は全額抜け落ちてしまうのだ。
実際、返済中の揉め事を望まず、きちんと完済してから返還請求する債務者は少なくない。この人たちが丸々抜け落ちているのだから、予測が当たらなくて当たり前だろう。
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