新線計画はメディアで取り上げられることが多い。銀座と臨海副都心を結ぶ新線は、『読売新聞』で取り上げられ、江東区の有楽町線延伸の計画も紙面になることにより関心を集めた。羽田空港アクセス線の計画も、最近話題になることが多い。
行政は、都市の国際競争力を高めるものとして大々的に計画を進めようとしている。しかしそれは生活者というよりも、企業や政治家などに必要な計画だという見方もできる。では、本当に生活者に必要な計画とは、どんな計画なのか。
今後東京圏でどんな新線ができるかは、国土交通省の「交通政策審議会」の答申「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」に書いてある。
その中から一般に話題になるのは、「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」というものである。東京が世界の都市との競争を行う中で、勝つために鉄道を設ける、という考え方である。
押上〜新東京〜泉岳寺間の都心直結線の構想や、羽田空港アクセス線の新設、などがそうだ。一方でこのプロジェクト群の中でも、本当は地域住民のためになるのでは、というものもある。
例えば、豊洲〜住吉間の「東京8号線(有楽町線)の延伸」だ。有楽町線を豊洲から延伸し、タワーマンションなどが増え住宅街としての発展も著しい江東区の住民が便利に公共交通を利用するための計画でもある。以前江東区にこの件で取材したとき、地域の発展のために都などとも折衝していると話していた。これは、発展の著しい江東区で、バスだけではまかないきれないタテの移動をなんとかするための路線である。
「都市の国際競争力」とはいえ、東京都心部の発展のために必要な新線計画も、この答申には盛り込まれているのである。
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