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パッと見ただけで年収が分かる時代が来る?――DMM亀山会長らが見通す未来AI時代の人間は「ガンダム」や「聖闘士星矢」のようになる(4/6 ページ)

» 2019年06月12日 05時00分 公開
GLOBIS知見録

産業革命以降の時代をどう生きるか

國光: そういう意味で言うと、今問われているのは産業革命以降の時代をどう生きるかという話なんですよね。産業革命の時代ってすごく分かりやすくて、物質的に豊かになることが幸せになることだった。だからどんどん物質的に豊かになろうという話が中心だったし、おじさんたちは今もそういう感じなんだと思います。でも、若い子たちは「これ以上モノが増えたって幸せになるわけじゃない」と、感じ始めている。

仲: そうなんです。だから今の時代に日本人の思想というのは割と合っていたりする。こんまりさん(近藤麻里恵氏:片づけコンサルタント)がNetflix(ネットフリックス)で大人気だったりするし。あの「モノや家にも魂や心がある」という発想も、アニミズム的で非常に日本人的だと思います。

岡島: 産業革命で筋肉が代替されて、AIで脳が代替されていった次は「心の時代」と言われているから、そこはまさに仲さんが言っていることになるのかなと思うし、日本人の強みもそこで出せるのかな、と。

國光: とにかく、ここから先の10年はAIが重要。AIがモノをつくるような領域で自動化を進めたりして効率を高めていく。AIというのは簡単で誰でもできるから、今後10年ぐらいで製造業やサービス業のほとんどはAIとロボットでやるような感じになる。すると何が起きるか。圧倒的に暇になる。今でも働き方改革を含めて労働時間は短くなっているわけだし。

田中: ただ、僕はAIで暇になるとは全然思ってないんですよ。人間って、やっぱり人よりも「何かしたい」という思いに囚(とら)われていますから。働く必要がなくなっても、またわけわかんないことを探し始めて何かやりますよ。

國光: それはそうですよね。

仲: さっきの「アルゴられてる」という話に戻るんですけれども、アルゴられてると超安全でハッピーな人生を送ることができる。でも、そうなると、例えば「間違った選択をする権利」みたいなものを追求するような動きが出てくる可能性もありますよね。「アルゴリズムは『血糖値が改善するからこれを食べろ』と言うけど、自分はそんなの食べない」って。

國光: 人間が今やっている仕事の多くはAIがやるようになるから人間はやらないほうがいいという話は、「ベーシックインカムを渡すから、お前らはごちゃごちゃ言わずにアルゴられとけ」みたいな方向性でもあって、これはパワーエリートの考える悪の世界。でも、「そうじゃなくて1人ひとりにココロオドル仕事があるよね」ということで皆が生きていく方向性というか、自分自身の人生を見つけようという方向性がある。そのどちらに行くかを問われるのが、10年後の先の話になると思います。AIによる生産性革命が行き着く先では皆が超暇になるから、そこでどういう風に心を動かすか。

田中: アルゴリズムに反逆するというのはいい話っぽいんですけれども、要はGoogleマップが示す方向とは違うほうに進むということですよね。

仲: そうです。間違った選択をするという権利だから。

phot 間違った選択をする権利もある(写真提供:ゲッティイメージズ)

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