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パッと見ただけで年収が分かる時代が来る?――DMM亀山会長らが見通す未来AI時代の人間は「ガンダム」や「聖闘士星矢」のようになる(2/6 ページ)

» 2019年06月12日 05時00分 公開
GLOBIS知見録

重要になるのは、何をAIに任せるか決める部分

岡島: 田中さんのところもVR領域は相当攻めていますよね?

phot グリー会長兼社長の田中良和氏

田中良和氏(以下、敬称略): 僕らはVTuberというものをやっています。そこに注目している理由はいくつかあるんですが、1つ面白いと思うことがあるんです。「CGのYouTuberなんてどれだけ流行るんだ?」と言われますが、実際、YouTuberはめちゃくちゃ流行っているじゃないですか。ただ、YouTuberって基本的には顔出しだし、それって実名投稿みたいなものですよね。そこで考えてみると、もしTwitterが明日から実名&顔出しでしか使えなくなったら相当盛り下がると思うんですよ。

 でも、YouTubeはすでにそういう状態なんです。もし、今まで実名で顔出しでしかできなかったTwitterが、明日からニックネームもアイコンOKになったらむちゃくちゃ盛り上がる筈ですよね。じゃあ、同じようにYouTuberがCGになれば匿名可能になるから、「それなら10倍盛り上がってもおかしくないでしょ」という感覚なんです。実名だと言いたいことが言えないじゃないですか。皆、顔出しもしたくないし。

岡島: 顔出しする、しないの違いは、亀山さん的にはどうなんですか?

phot DMM.com会長の亀山敬司氏

亀山敬司氏(以下、敬称略): そりゃ、しないほうがいいに決まっているよね(笑)。ちやほやされたかったら、こういうところでしゃべればいいけど、街を歩いていて誰にも知られたくないときってあるじゃない。そのほうがゆっくりできるし。経営者なんて出るもんじゃないよ。

岡島: ちなみに亀山さんは、顔写真を出していたことはあるんですか?

亀山: いや、俺はもともと50歳までは誰にも会いたくないと思って引きこもっていたから。社員に「出てくれ」とか言われても、本当は静かに生きたかったのよ。実はそういう人間なのよ。でも、世の中では美女をはべらせて「がははは」なんて言っているようなイメージがあったらしい。皆、そういう夢を俺に見ていて、「亀山さんになりたい」とか言うわけ。だから「いや、会ったことない人にそんなこと言われても困るし」って思って出てきた(会場笑)。

國光:今回のG1はAI関連のセッションや議論が多いですよね。実際、ここから10年間はAIがすごく重要になります。でも、そこから先は結構どうでもよくなってくる。AIって、簡単なんですよ。

田中: AI、やったらいいじゃないですか?

國光: やってる、やってる。だいたいAIを使ってないゲームやVRの会社なんてどこかにあるのかというぐらいで。とにかく、ディープラーニングが出てきてAIはすごく簡単になった。しかも、みんな「画像認識がうんぬん」とは言ってるけど、だいたいAmazonやGoogleがつくったようなデータを使っているわけだし。それなら誰がやっても、ある程度以上につくればだいたい一緒。今は、例えばGoogleは音声が得意とか、マイクロソフトは画像が得意とか、少しの差はあるけど、ここから数年したらAmazonもGoogleもバイドゥもアリババも基本的には一緒になる。しかもそれがクラウドベースで提供されるようになるから、どの会社もつくるものは一緒になるんです。

 じゃあ、そこで最終的な違いが何になるかと言えば、細かく教えるところ。「これは赤い服」だとか「これはこういう繊維」だとか。そこは細かく教えればいい。これは手作業です。そこをやったところが違いを生み出す。なので、ここから10年間はAIがすさまじく重要になります。ただ、そこで何が大切になるかというと、ビッグデータとか国家のうんぬんといった話ではないんですよね。重要になるのは、何をAIに任せるか決める部分。そこをコツコツとAIに食わせて精度を高める部分が大切になります。

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