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日本発の“AIブレスト”は、世界の「ムダな会議」を変えるか世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2019年06月13日 07時30分 公開
[山田敏弘ITmedia]

思い付かない「言葉の海」に飛び込む

 そこにこのAIマシンが救いの手を差し伸べるのである。AIブレストスパークの使い方は簡単だ。公式サイトにアクセスしてログイン。すると、メイン画面が登場するので、検索欄に調べたい言葉を入力する。

 メイン画面には「ひらめきマップ」というウインドウが表示され、そこでは検索したワードから蜘蛛の巣のようなビジュアルで関連語が瞬時に広がる。自分だけで考えても決して思い付かないような言葉がつながっていき、頭の中が、何かひらめきを促してくれそうなモードになる。表示された言葉を拾うことで、脳に気になる言葉を充満させ、発想を膨らませることが可能になるという。

 そしてメイン画面には「ブレストアイデア」のウインドウもある。そこには、検索した単語に、さまざまな言葉をランダムに接着させることで生み出された意外な言葉が並ぶ。その新しい切り口が創造の糸口になり、言葉同士の意外な結合によって思いもよらない概念が生まれる可能性もある。

photo AIブレストスパークのメイン画面。ひらめきマップ(1)とブレストアイデア(2)の画面にはさまざまな言葉が表示される

 こう説明してもピンとこないかもしれない。そこで、例えば「コーヒー」という単語を検索するとどうなるのか見てみたい。ひらめきマップでは、「コーヒー」という言葉を中心に、ネットなどから拾われた関連語や、人々が話題にしている内容などを拾い、「コーヒーの淹」「楽しむ」「知る」などの言葉が数珠つなぎのように広がっていく。

 さらに「コーヒー」から「知る」に進むと、そこからまた「イベント」「アスモデウス」「お出かけ」といった言葉がつながっていく。「アスモデウス」の先には「古書店」「止まり木」「司」といった言葉が広がっている。「アスモデウス」とは、作家・蒼月海里の小説である『幻想古書店で珈琲を』シリーズに登場する魔神のこと。この小説は、主人公の名取司が、珈琲の匂いにつられて迷い込んだ古書店「止まり木」で働くことになり、不思議な体験をするというストーリーだ。AIブレストスパークはコーヒーという単語を与えられただけで、こんなニッチなところまで手が届くのだ。

 このように、言葉がどんどん出てくることによって、「言葉の海」に飛び込んだような状態になるのである。また「ブレストアイデア」にも、「コーヒードリル」「バーチャルコーヒー」「団塊のコーヒー」「いまどきコーヒー」「コーヒー解体新書」といった言葉が表示され、しかも設定を「JK用語」に変えると、「コーヒーそれな」「了解道中膝栗毛コーヒー」「コーヒーエモい」「おけまるコーヒー」といった言葉が生成される。さらにAIが導き出したいろいろなフレーズも表示される。

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