そして、山岸氏は重要な示唆をする。
それは、
という事実だ。
例えば、山奥の伝統的な共同体に住んでいる限り、その中では人は周りの人を警戒する必要がない。お互いに集団の内部を相互に監視し、裏切り者は共同体の外に放逐すればよいというシステムができているので、「信頼」を育む必要がないからだ。
しかし、安心に依存し続けていると、「人を信頼すること」が下手になり、外の世界に出ていく機会は極めて限られたものになってしまう。
実際、山岸氏の実験では、特定の相手との安心に基づく関係を形成すると、関係外部の人間に対する信頼感はむしろ低下することが分かっており、ますます閉鎖的になる、ということが示されている。
実際、山岸氏が、この安心をベースにした人間関係を重視する人々が持つ傾向を、実験によって明らかにしたところ、
次のような人々であることが分かった。
山岸氏はこれを「社会的びくびく感」と名付けているが、これは、一般的なコミュ障のイメージに驚くほど近いことがよく分かる。
彼らは「人間同士の信頼関係」よりも、「安心を作り出す仕組み」の方に依存しているため、「この人はどの程度、信頼できるのか」という感覚が鈍ってしまっており、それゆえに、コミュ障なのだ。
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