こう考えていくと、コミュ障は個人だけに適用できる概念ではない。実は、「“コミュ障な”組織」も存在する。
例えば、「コンサルタント」や「外部リソース」を使うことがやたら下手な会社。そういった会社は実は“コミュ障な”会社であること多い。
ある会社では、経営陣が外部リソースを使う際に、まず言っていたのが、「なめられるな」「ノウハウをできるだけ隠せ」「できるだけ“たたけ”」だった。
要するに、「外部の会社は一切信用できない、使うにしても上下関係をはっきりさせておきたい」という考え方だ。
また、ミスが起きたときに、それを外部の業者に押し付けようとする傾向もあった。だから結局、どこかの時点で必ず、コンサルタントや外部の協力者とのコミュニケーションが、うまくいかなくなる。
しかも、そういう会社は決まって人材に関しても排他的で、当然副業も認めず、「辞めた人のことは口にしてはならない」という“暗黙のおきて”があったり、会社を辞めた人をあしざまに言ったりすることも多い。
さらに、“好き嫌い”で人事が行われ、会社の「文化」「暗黙のルール」を社員に強制することもしばしば見受けられる。
要は「ムラ社会」のような会社、つまりコミュ障な組織なのだ。
念のためにいうと、私はコミュ障を特に「悪いものだ」と否定しようとは全く思わない。
安心はリスクを回避するための有効なツールからだ。「安心にこだわって何が悪いのか」と考える方も数多くいるだろう。
だが、安心を重視すればするほど、外の世界に出ていく機会は減る。
見知らぬ他人を信用できなければ、転職の機会を逃し、副業のチャンスを見過ごし、シェアリングエコノミーも利用することができない。企業間の連携など、夢のまた夢である。
その機会損失を受け入れた上で、信念を貫くのなら、それはそれでよいのだろうが。
1975年東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。大企業、中小企業あわせて1000社以上に訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。仕事、マネジメントに関するメディア「Books&Apps」を運営する一方で、企業の現場でコンサルティング活動を行う。Twitterアカウントはこちら。
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