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「妻がボス」で、夫婦のもめ事が激減 ノバルティスファーマ社長の「子育て経営学」とは子育て経営学(3/3 ページ)

» 2019年06月25日 08時00分 公開
[宮本恵理子ITmedia]
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経営層が子育てに関われば、意識は変わる

―― 大企業や伝統的な企業で働く男性たちが、もっと子育てに参加できる環境をつくるためには何が必要だと思いますか。

綱場氏 やはり経営層の意識改革と行動でしょう。歴史のある組織がカルチャーを変えるには、決定権のある層が声を上げるべきだと思います。そのために一番早いのは、経営層が子育てに関わる経験をすることでしょう。自分の課題として問題を認識すれば、制度を改善できるはずです。どの会社にも、昔ながらの価値観に縛られる“粘土層”はいます。けれど、誰かがそれを突破しないといけません。

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 当社の場合は、たまたま社長である私が次男誕生のタイミングで育休を取得して、前例をつくることができました。その結果、社内の男性社員が育休を取得する追い風になり、男性の育休取得者数が増えました。昨年度は7人でしたが、今年度は上半期だけでも10人の男性社員が育休を取っています。

 また、実際に子育てをして感じた課題を制度の改善に反映して、病気休暇の取得理由を、子どもの予防接種や不妊治療にも適用できるように変更しました。その日数も、20日間から35日間に増やしています。さらに2019年1月からは、ペットの通院など、どんな理由でも取得できる年5日の特別休暇を新たに導入します。

 大事なのは、個人が自分にとって本当にベストなライフスタイルを実現することです。男性の育休取得率を上げるために、「子どもが生まれたら全員育休取得」と義務化すれば簡単に数値は上がるでしょうが、それでは本質的な働きがいのある会社につながらない。自由に選べるような環境づくりを進めていきたいですね。

―― 綱場さんにとって、子育てとは。

綱場氏 自分が過ごしてきた人生、幼くて気が付かなかった親の愛情を発見し、より幸せを感じられる追体験。人生の素晴らしさを追体験できる経験を日々味わっています。

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