インタビュー
» 2019年06月26日 05時00分 公開

落ちこぼれ青年の逆転劇:田中角栄からカネは受け取らなかった――田原総一朗が語る「ジャーナリスト人生の原点」 (1/3)

田原総一朗の「ジャーナリスト人生の原点」に迫った。

[服部良祐, 今野大一,ITmedia]

 日本を代表するジャーナリスト、田原総一朗――。歯に衣着せぬ物言いでテレビ朝日の「朝まで生テレビ!」の司会を務め、政治や社会問題を広く国民に浸透させてきた。

 現在85歳の田原さんは今なおメディアの最前線で活躍している。まさに「人生100年時代」の体現者だ。自分のWebサイトでのコラムや経済ニュースサイトなどのネットメディアでも、積極的に自身の考えを発信している。毎朝必ず、新聞に目を通し、政財界の要人に会い続ける多忙な日々を過ごしているという。

 しかし、そんな田原さんも大学を卒業するときの就職活動では、新聞社やテレビ局といった会社を受けたものの、ほぼ全ての試験に落ちた「落ちこぼれ」の一青年だった。「自分には本当に才能がないんだな」と思って落ち込んだりもしたのだという。

 インタビュー記事の前編(田原総一朗が憲法9条で安倍首相を斬る――「“改憲した総理”になりたいだけ」)では憲法改正についての考えをお届けした。後編では、就職活動で「落ちこぼれ」だった田原さんが、どのようにして「田原総一朗」になったのか、ジャーナリストとしての原点に迫る。

photo 田原総一朗(たはら そういちろう)1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。近著に『脱属国論』(毎日新聞出版)

「報じること」を怖がるメディア

――田原さんは長きにわたってメディアの最前線に立っています。フリーランスになった40年以上前とは、新聞やテレビの在り方も変わった部分があるように感じますが、今のメディアの状況をどう見ていますか?

 メディアって、特に経済の問題を触るのはいやなんだよ、怖くて。(ある経済誌が出した世界時価総額ランキングでは)例えば1989年、平成元年には、時価総額で、世界のトップ50社の中に、日本企業は32社入っていた。

 では去年はどうか。トップ50社に入ったのはトヨタ自動車1社だけ。しかも35位。30位まではゼロなの。平成元年には、トップ20社の中で15社が日本企業だったのに今はゼロ。何でこうなったのか、メディアはどこもやらないね。

――話題になった話ではありますが、本質的な議論や分析が不十分だということですよね。

 世界のトップ50社の中に32社入ってたのに、今は50社に入ってるのはトヨタだけ。全部消えちゃった。なぜなのか。どこもやらないじゃん。事実はみんな知っているよ。

――メディアが企業や財界にとって都合の悪いことを報じなくなっている状況はあると思います。個人的には「100年後にはジャーナリズムはなくなっているかもしれない」と思うことがありますが、100年後にもジャーナリズムは残っていると思いますか?

 ありますよ。アメリカではニューヨーク・タイムズは、トランプに「敵だ、インチキだ」「全部フェイクニュースだ」と、言われても頑張ってるじゃない。安倍(晋三)さんだって、「朝日はみんなインチキだ」とまでは言わないですよね。

――「今は(マスコミ内部で)サラリーマン記者が増えている」と以前のインタビューで言っていましたね。勝負していないと。テレビの世界でも、田原さんのように「聞くべきことを聞かないジャーナリスト」が増えている印象を受けます。

 勝負しなきゃ、面白くないじゃない。でも聞くべきことを聞かないジャーナリストがいるから、僕みたいなのが通用している(笑)。みんなが聞くなら、僕なんか通用しないからね。

――なぜ多くの記者は、田原さんのように本当に突っ込んでいかないのでしょうか。

 何でだろうね……。やっぱり、突っ込むと損だと思っているんじゃない。僕はフリーだからね。

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