話しやすい会議の雰囲気をつくり、参加者の発言を引き出せるようになったら、次は、発言の裏に隠れている「真意」を引き出す必要がある。理解を深める質問をして、議論を活性化させていこう。
基本的には、この3つの質問を押さえておけばいいだろう。
それぞれの質問は、どんな風に使えばいいのか。「若手の育成について、現行の改善点を洗い出す」という会議でのファシリテーターの活躍を見てみよう。
Aさん: ――だから、僕は、部長が現場に対して実質的な関与をすべきだと思うんだ
ファシリテーター: なるほど、良い意見ですね。確かにそうかもしれませんよね!(Aさんの意見を否定せずに受け止め、褒める)
ファシリテーター: でも、実質的って具体的にはどんなイメージですか?(褒めて終わるのではなく、具体的なイメージができるように質問を返す)
Aさん: うーん。例えば、資料のチェックをするとか、メンバーへの指導を10分でもするとかかな……
ここまで来ると、Aさんが具体的に何をすべきだと考えているかは理解できる。でも、もう一息だ。Aさんが「なぜそう思うのか」はまだ見えづらい。
ファシリテーター: なるほど、イメージ湧きました。でも、なぜそれが必要だと思うんですか?
Aさん: それはさ、過去にこんなことがあって……
ファシリテーター: なるほど、よく分かりました。そういう理由からだったんですね。考えもしませんでした
このように、ファシリテーターは相手の意見を肯定することを心掛けよう。Aさんの意図していることは見えてきたので、もうひと押しだ。
ファシリテーター: 他にはありますか?
Aさん: うん。実はもう一つ理由があって――
ここまで質問して、引き出して、ようやく相手の真意が分かる。上っ面で理解した気にならないことが重要だ。相手の主張を自分の言葉で説明できるくらい、しっかり理解する必要がある。
「具体的にどんなイメージか?」「なぜそう思うのか?」「他にはあるか?」――この3つの観点を持っているだけで、相手の意見をより引き出せるようになるだろう。
話している方も、質問されることで考えが促される。「そう言われると、そこまで考えたことなかったな……」などと、ハッとすることも多いのだ。
コンサルティング会社、ケンブリッジのコンサルタント。一級建築士。ファシリテーションとITを武器に変革プロジェクトを支援しています。
議論に集中できない、参加者が内職や居眠りをしている――。そんな“ダメ会議”からどうすれば脱却できるのか。会議の生産性を高めるポイントを、榊巻亮さんの著書『世界で一番やさしい会議の教科書』と『世界で一番やさしい会議の教科書 実践編』から紹介します。
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