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無言が続く“お通夜会議”を脱却せよ! 主張を引き出す「3つの質問」の使い方今日から始める“ダメ会議”脱却術(2/2 ページ)

» 2019年07月04日 07時00分 公開
[榊巻亮ITmedia]
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Step2. 理解を深めるための質問をする

 話しやすい会議の雰囲気をつくり、参加者の発言を引き出せるようになったら、次は、発言の裏に隠れている「真意」を引き出す必要がある。理解を深める質問をして、議論を活性化させていこう。

 基本的には、この3つの質問を押さえておけばいいだろう。

  • 「具体的には?」……具体的なイメージが持てるように
  • 「何でそう思うんですか?」……発言の真意を理解できるように
  • 「他にはありますか?」……漏れがないか確認できるように

 それぞれの質問は、どんな風に使えばいいのか。「若手の育成について、現行の改善点を洗い出す」という会議でのファシリテーターの活躍を見てみよう。

Aさん: ――だから、僕は、部長が現場に対して実質的な関与をすべきだと思うんだ

ファシリテーター: なるほど、良い意見ですね。確かにそうかもしれませんよね!(Aさんの意見を否定せずに受け止め、褒める)

ファシリテーター: でも、実質的って具体的にはどんなイメージですか?(褒めて終わるのではなく、具体的なイメージができるように質問を返す)

Aさん: うーん。例えば、資料のチェックをするとか、メンバーへの指導を10分でもするとかかな……

 ここまで来ると、Aさんが具体的に何をすべきだと考えているかは理解できる。でも、もう一息だ。Aさんが「なぜそう思うのか」はまだ見えづらい。

ファシリテーター: なるほど、イメージ湧きました。でも、なぜそれが必要だと思うんですか?

Aさん: それはさ、過去にこんなことがあって……

ファシリテーター: なるほど、よく分かりました。そういう理由からだったんですね。考えもしませんでした

 このように、ファシリテーターは相手の意見を肯定することを心掛けよう。Aさんの意図していることは見えてきたので、もうひと押しだ。

ファシリテーター: 他にはありますか?

Aさん: うん。実はもう一つ理由があって――

 ここまで質問して、引き出して、ようやく相手の真意が分かる。上っ面で理解した気にならないことが重要だ。相手の主張を自分の言葉で説明できるくらい、しっかり理解する必要がある。

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 「具体的にどんなイメージか?」「なぜそう思うのか?」「他にはあるか?」――この3つの観点を持っているだけで、相手の意見をより引き出せるようになるだろう。

 話している方も、質問されることで考えが促される。「そう言われると、そこまで考えたことなかったな……」などと、ハッとすることも多いのだ。

著者プロフィール:榊巻亮

コンサルティング会社、ケンブリッジのコンサルタント。一級建築士。ファシリテーションとITを武器に変革プロジェクトを支援しています。

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連載:今日から始める“ダメ会議”脱却術

議論に集中できない、参加者が内職や居眠りをしている――。そんな“ダメ会議”からどうすれば脱却できるのか。会議の生産性を高めるポイントを、榊巻亮さんの著書『世界で一番やさしい会議の教科書』『世界で一番やさしい会議の教科書 実践編』から紹介します。

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