多くのものがそうだが、本当に原理原則まで遡ると、複雑な物事はとても単純な言葉で表せる。
例えば、トヨタに言わせればクルマを作ることは「売れた分だけ作る」ことになる。いわゆるトヨタ生産方式だ。
言葉は簡単だが、中身はとてつもない多重構造になっている。「売れた分だけ作る」は同時に「売れた以上に作らない」だし、「売れた分は遅滞なく作る」だし「売れないクルマを作らない(不良は出さない)」でもある。
マツダの第7世代にあたる最新車Mazda3
クルマを売る側はどうだろう? こっちは「ブランド価値向上」に尽きる。このブランド価値を軸にして見ると、新車価格と中古車価格は相互に関係しつつループ構造になっている。「新車を正価販売する」ためには「高い商品力」を持つ魅力的商品でなくてはならないし、販売店の「高い販売力」も求められる。
商品とサービスに魅力があれば、新車を正価、つまり値引きせずに売れるから中古車の相場が上がり、その結果下取り価格が高いので、買い替え時により高いクルマが売れる。これが理想的サイクルだが、ひとつ歯車が狂うとサイクルが逆回転してしまう。
「商品・サービスに魅力がない」→「新車が正価で売れない」→「在庫がダブつくか生産設備の稼働率が落ちる」→「苦しくなって値引き販売」→「新車の値引き影響で中古車価格が崩壊」→「下取りが悪化」→「ユーザーの買い替え原資の不足で新車販売が悪化」→最初にもどる
だから自動車メーカー各社はブランド価値の向上に必死に取り組んでいる。
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新型Mazda3(アクセラ)はいわゆるCセグメント。フォルクスワーゲン・ゴルフをベンチマークとする小型車で、トヨタ・プリウス、カローラなど世界最激戦区で戦うモデルだ。マツダにとって失敗が許されないモデルであり、成功すればマツダのイメージを大躍進させる重要な位置付だ。
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マツダの働き方改革について書きたいと思う。あらかじめ断っておくが、マツダの働き方改革は、いわゆる総務・人事の領域の話ではない。それは徹底的にクルマづくりの話なのだ。
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一度マツダ車を買うと、数年後に買い換えようとしたとき、下取り価格が安く、無理して高く下取りしてくれるマツダでしか買い換えられなくなる。その「マツダ地獄」をマツダ自身が今打ち壊そうとしているのだ。
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