「二段階認証うんぬん」発言から読み取れる、セブンの危機的状況スピン経済の歩き方(5/5 ページ)

» 2019年07月09日 08時05分 公開
[窪田順生ITmedia]
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人口増社会型ビジネスモデルをあきらめる

 これだけ膨大な数の人が消えていく国なのに、コンビニの店舗も売り上げも右肩上がりで増えている。セブン-イレブンのWebサイトによれば、17年度で2万店を突破して、18年度には2万876店舗となっている。数百メートルおきに同じ店がポコポコとオープンしているのだ。

 人口減少社会で、人口増社会型ビジネスモデルがうまくいくわけがない。「員数合わせ」で売り上げは好調に見せても、その無理は必ずどこかで生じる。

 空き家が山ほどあふれているのに、「アパート経営はもうかります!」という口説き文句で、アパートを建てる企業で相次いで不正やパワハラなどの問題が発覚しているのが、その証左である。

 7月7日の日刊工業新聞のインタビューで、ファミリーマートの澤田貴司社長が「今、本部が一番ばかになり、ぼけている」と述べていた。コンビニ改革が待ったなしの状況であるにもかかわらず、FC本部が「現場ズレ」していると危機感をあらわにしているのだ。

 ファミマがそうなら、「王者」であるセブンの「ボケ」もかなり進行していると考えるべきだ。「二段階認証うんぬん」発言は、その兆候だと考えれば妙にしっくりくる。

 今のままではさらに手痛いしっぺ返しを食らいかねない。消費者から「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られる前に、ぜひともセブンには、人口増社会型ビジネスモデルをあらためていただきたい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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