土肥: たくさんの人の声を聞いたために、いまひとつ売れなかった商品を教えてください。
山: ピーナッツ・クラブのときに開発した「ケーキカップメーカー」は、かなり苦戦しました。プレートをはさむことによって、食べられる器ができるという商品でして、社内からは「これ、絶対に売れるよ」といった声ばかりでした。他社で同じような商品を出していて、それが売れている。「じゃあ、ウチも製品化すれば、売れるよ」といった安直な考えで企画がスタートし、その後、「この機能も搭載しようよ」といった声を取り入れた結果、さっぱりでした(涙)。
この失敗事例で、私たちは2つのことを学びました。1つめは、他社製品を真似たような商品を出すのはやめよう。2つめは、全員が同じ方向を向いているときには、基本コンセプトがブレないか注意しよう。結果、ニッチな商品を攻めることになっているのかもしれません。
土肥: ふむふむ。最後に、今後のことを聞かせてください。ホームロースターの第二弾を考えているのでしょうか? また、いまどんな商品を企画しているのでしょうか?
山: 発売時期は未定ですが、ホームロースターの第二弾を考えています。今回発売するのは、機能がシンプルなんですよね。「深煎り」と「中煎り」の2モードしか搭載していませんが、第二弾では8モードを予定しているので、より本格的な焙煎機を好む人向けです。
このほかに、高級食パンをできるだけ早く、もっとおいしく食べることができるトースターを開発しています。数年ほど前から、高級食パンがブームになっていますが、早く焼くことができれば、そのぶん水分を逃がさない。結果的に、よりふわふわした食感を維持したパンを食べることができる。こうした基本コンセプトの商品を実現できればなあと。
土肥: 企画は「ふわふわ」していませんねえ。“すぐに売れて、おいしい商品”になるかどうか注目しています。本日はありがとうございました。
(終わり)
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