えっ、家が喫茶店になる? 自宅焙煎ができる「ホームロースター」が面白い水曜インタビュー劇場(コーヒー公演)(3/5 ページ)

» 2019年07月10日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

周囲からは反対の声ばかり

土肥: 「コーヒーの焙煎機をつくるぞー。試作品を完成したぞー」といった話をしたとき、周囲からはどのような声がありましたか?

山: 「本当にそれ売れるの?」といった声ばかりでした。市場に同じような商品がないので、どのくらい売れるのか分かりません。ニーズがあるのかどうかも分からないので、心配になる気持ちはよーく理解できました。そんな状況にもかかわらず、なぜ試作品をつくったのか。喫茶店を運営されている方からの「つくってほしい」という声があったからなんですよね。

 「こんな商品、欲しいなあ」と思っても、なかなかメーカーに相談することってないですよね。でも、そのような声が届いた。市場に同じような商品がないので、ニーズがあるのかどうかが分からない。売り先があるのかどうかも分からない。どのくらい売れるのかも分からないので、事業計画も立てられない。けど、お客さんの声を大事にしてみてはどうかと考えました。モチベーションとしてはとてもシンプルですが、「つくってみて売れなかったらあきらめよう」とも考えていました。

マイコンを搭載することで、自動温度設定を実現

土肥: クラウドファンディングで公開したところ、目標金額を大幅に上回りました。コーヒーの楽しみ方が多様化していることがうかがえたわけですが、資金がどんどん集まっていくことに対して、社内はどのような雰囲気でしたか?

山: 「すごい! すごい!」といった感じで、盛り上がっていました。支援していただける人の数がどんどん増えて、金額もどんどん増えていくので喜んでいたのですが、開発を担当している者は不安を感じていました。「本当に大丈夫なのか」「何かあったら、どうすればいいのか」と。ちなみに、私も開発を担当していたひとりでして(汗)。

土肥: 残念ながら、その不安は的中しました。当初、6月末に出荷すると宣言していましたが、7月末に延期することに。一体、何があったのでしょうか?

焙煎終了後、焙煎が進みすぎないように送風を送って、コーヒー豆を冷却する

山: 出荷が遅れた原因は2つあって、1つは想像以上に売れたこと。当初、目標金額の5〜6倍集まっても大丈夫と見込んでいたのですが、結果は20倍ほどでした。もう1つは、初めてつくる商品だったこと。試作品をつくるまではうまくいっていたのですが、いざ量産するとなるといくつかのトラブルが生じました。1日に〇〇台はつくれるだろうと思っていましたが、組み立てる工程で予想以上に時間がかかることが分かってきました。

 このほかにも一部の仕様を変更したり、部品が届かなったり。いくつかのトラブルが生じたので、1日の生産量を落とすことに。結果、出荷に遅れが出てしまいました(反省)。

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