飲み屋街で24時間営業の本屋さん、支持される理由とは親子3人でシフト(5/5 ページ)

» 2019年07月17日 06時00分 公開
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オープンから37年で変わったのは「子ども」

 今年で開店37年目、「ブックスおおみね」は、本を通してたくさんの人と出会ってきた。この間、輝浩さんの目から見て、一番変わったのは「子ども」だという。

 「昔、街の本屋さんは、子どもたちがお小遣いを持って、遊びながらコミックや文房具を買いに行くところでした。店の中で元気に「おにごっこ」をする子どもたちもいました。でも、今は店の外から、一人で入っていいのかなと様子をうかがって、戸惑う姿を見かけます。子どもだけで買い物に行ってはいけないと学校や親に言われているのかもしれません」

 「最近では、本屋は、親が子どもの物を買いにくる場所になりました。子どもに、『お父さん、あの雑誌、昨日本屋に並んでいるはずなのに、何で買ってきてないの』と言われて来たり。文房具もそうです。子どもたちが塾や習い事で忙しいんですかね」

ノートや祝儀袋など、文房具もそろう

 輝浩さんが時代の移り変わりを語っていると、「いま、帰ったよ」とお客さんが入ってきた。

 「きょうは『風の谷のナウシカ』の放送があるっていうから、すぐ帰るね。またあした」と言って店を去っていった。

 「今のお客さんは、30代くらいだと思いますが、近所に住んでいて、出勤するときは『いってきます』と声をかけてくれます。帰ってきたら『ただいま』と言って、1時間ほど店内をゆっくり堪能していくのが日課です。本当にきょうは珍しい。お客さんとのこういうやりとりに元気をもらっています」

 3人でシフトを回し、明かりがともり続ける毎日。24時間営業はいつまで続けるのか。「父は深夜に店で働くと、本当に元気になるんです。朝までおしゃべりをして、生き生きしているように感じます。24時間の強みもあるので、まだまだやっていきたいです」

與那覇 里子(よなは・さとこ)

首都大学東京大学院2年/沖縄タイムス社 デジタル部記者

1982年那覇市生まれ。千葉大学教育学部卒業。2007年沖縄タイムス社入社、こども新聞「ワラビー」担当、社会部を経てデジタル部。


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