コラム
» 2019年07月26日 05時15分 公開

「絶滅危機」のウナギ、真の復活への道とは「土用の丑の日」に憂う【後編】(2/6 ページ)

[真田康弘,ITmedia]

日本が率先して「ワシントン条約附属書掲載」を提案せよ

 そこでこの状態を打破するため、日本自らが率先して動植物の輸出入を規制するワシントン条約において附属書掲載を提案してはどうだろうか。すでにヨーロッパウナギは附属書II(取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種)に掲載されていて、この条約の下で輸出入規制が行われている。

 ときどき「ワシントン条約で規制されてしまうと輸出入が一切できなくなってしまう」と勘違いされることがある。確かに附属書Iに掲載されると、商業的輸出入はできなくなってしまうものの、ヨーロッパウナギのように附属書IIに掲載されている種については、輸出が(1)その種の存続を脅かすことがなく、かつ、(2)自国の法令に違反して入手されたものでない場合、輸出側は輸出許可書を発給することができる(ワシントン条約第4条2項)。

 つまり、附属書IIの掲載は、商取引の禁止ではなく、資源の持続可能な利用を目的にするものともいえるのだ。

 近年ワシントン条約では他の条約などで十分に守られていない種を附属書IIに掲載し、その種の保存と持続可能な利用を図る動きが活発化している。ニホンウナギもこのメカニズムを使って、率先して管理を行ってはどうだろうか。

 もしニホンウナギが附属書IIに掲載されれば、香港からの輸出に対して許可書の発給は困難となるだろう。香港の管理当局が、台湾からの密輸の疑いが濃厚なシラスウナギを「自国の法令に違反して入手されたものでない」と認め難いからだ。もちろん、附属書IIに掲載されてしまうと「ロンダリングウナギ」が断たれてしまうため、日本の養殖池に入るシラスウナギの漁は相当量減ることが予想される。

 しかし、そもそも密輸された非合法なシラスウナギを使うこと自体が問題なのだから、こうした違法な「ロンダリングウナギ」に依存した養鰻業者は淘汰され、業界の適正化が図られることになるはずだ。

photo ワシントン条約の付属書に掲載されている水棲動物種(水産庁「ウナギをめぐる状況と対策について(2019年7月)」より)

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