「絶滅危機」のウナギ、真の復活への道とは「土用の丑の日」に憂う【後編】(6/6 ページ)

» 2019年07月26日 05時15分 公開
[真田康弘ITmedia]
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「ウナギ食文化」を将来に残すために

 大伴家持が「石麻呂にわれ物申す夏痩せに良しという物ぞ鰻(むなぎ)取り食(め)せ」と万葉集で歌ったように、ウナギが暑い夏に適した食であることが奈良時代から知られていたようである。江戸時代中・後期頃から土用の丑の日にウナギを食べる習慣が生まれ、ウナギは現在われわれの食文化として深く根付いている。

 しかしシラスウナギの漁獲量の歴史的不漁が去年も今年も報道される現在、われわれのウナギ消費は持続不可能なレベルに達していると言えよう。事態は一刻を争うように思われる。将来の世代にウナギとその食文化を残してゆくために、あらゆるレベルでの取り組みが必要とされているのだ。

photo 将来世代に残していくための取り組みが急務だ(写真提供:ゲッティイメージズ)

著者プロフィール

真田康弘(さなだ やすひろ)

早稲田大学地域・地域間研究機構客員主任研究員・研究院客員准教授。神戸大学国際協力研究科博士課程前期課程修了(修士・政治学)。同研究科博士課程後期課程修了(博士・政治学)。大阪大学大学教育実践センター非常勤講師、東京工業大学社会理工学研究科産学官連携研究員、法政大学サステイナビリティ研究教育機構リサーチ・アドミニストレータ、早稲田大学日米研究機構客員次席研究員・研究院客員講師等を経て2017年より現職。専門は政治学、国際政治史、国際関係論、環境政策論。地球環境政策や漁業資源管理など幅広く研究を行っている。著書に『A Repeated Story of the Tragedy of the Commons: A Short Survey on the Pacific Bluefin Tuna Fisheries and Farming in Japan』(早稲田大学、2015年)、その他論文を多数発表。


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