コラム
» 2019年07月26日 05時15分 公開

「絶滅危機」のウナギ、真の復活への道とは「土用の丑の日」に憂う【後編】(3/6 ページ)

[真田康弘,ITmedia]

国内的規制の強化

 第二は国内的規制の大幅な強化だ。中編記事で述べた通り、現在ウナギの採捕は都道府県が制定する漁業調整規則などにより規制されている一方、漁業法に定める当該規則の罰則上限は「6月以下の懲役若しくは10万円以下の罰金」にすぎず、暴力団員が直接関与した極めて悪質な事例でも、執行猶予付きの判決で済んでいる。ウナギの稚魚を違法に採捕した場合、その利益は場合によっては数十万円から百万円単位となることから、現行の罰則は違法操業を抑止するものとしては「弱すぎる」と言わざるを得ない。

 こうした中、18年に改正された漁業法では罰則が引き上げられ、農林水産省令で特に指定された水産物を密漁した場合、「3年以下の懲役または3000万円以下の罰金」に処すことができるようになった(改正漁業法第132条及び第189条)。この改正はもともと密漁に悩まされているアワビやナマコを想定したものだが、筆者はウナギにもこの厳しい罰則が適用されるようにすべきだと考えている。

 なお、シラスウナギの場合は養殖用の種苗(編注:しゅびょう、稚魚のこと)として特別に採捕が認められたもので、そもそも「漁業」とは認められていないため、上記の指定が難しいのではないかとの声も、規制を担当する地方自治体関係者から聞こえてくる。こうした場合は、漁業法をさらに改正し、漁業調整規則などの罰則上限を大幅に引き上げてこの懸念に対応してはどうだろうか。

 法的な規制とともに、取り締まりの強化も必要だ。もちろん、各都府県で密漁を担当する人員を強化していくことが望ましい。こうした場合でも、密漁を担当する各当局が連携を強化することにより、対策を強化できるだろう。例えば中編で紹介した高知県の事例でもあったように、シラスウナギ漁の実態をよく知る県庁担当者と、取り締まりのノウハウや反社会勢力に関する情報などを有している都府県警察との連携の強化などが望まれる。

 また、密漁・未報告で採捕されたシラスウナギの収益は、当然適正な税務申告がなされていない。事実、これまでにもシラスウナギ密漁に関する脱税で摘発された事案は複数あり、例えば高知地裁は18年12月、シラスウナギ仲介で得た所得を申告せず、2年間で計9600万円を脱税したとして、県内の男に懲役1年6月、執行猶予3年、罰金2000万円の判決を下している(読売新聞18年12月28日)。密漁関係の事案については適宜、所得税法違反にも同時に問い、より高額の罰金を科す形で不十分な漁業調整規則の罰則を補うべきだ。

photo アワビやナマコを密漁した場合、「3年以下の懲役または3000万円以下の罰金」に処すことができるように漁業法が改正されたが、ウナギにも適用すべきだ(水産庁のWebサイトより)

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