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» 2019年08月14日 08時05分 公開

朝がつらい、だけではない:「時差Biz」が、なかなか普及しない理由 (4/4)

[小林拓矢,ITmedia]
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時差通勤を本格化させるためには

 朝のラッシュは、特定の時間帯に利用者が集中し、混雑がひどくなる。それにより列車を多く走らせる必要があり、そのぶん列車が目的地に着くまで長い時間がかかる。京王線の朝ラッシュ時はその典型だろう。一方夕方のラッシュも混雑しているものの、朝ほど列車を多く走らせる必要はない。

 実際、「時差Biz」を開始すると、その取り組みに賛同する社が約1230社も現れ、東京都庁も職員の時差出勤を行うようになっている。

 鉄道会社にとっても、時差出勤、特に早朝の出勤促進は、比較的空いている早朝時間帯の列車の乗客が増えるだけではなく、混雑が引き起こすピーク時のダイヤ乱れの可能性も少なくなるメリットもある。しかも、空いている時間帯の列車に乗客が移ることになるので、増発の必要もない(増発している会社もあるが)。

 その意味では、鉄道各社が「時差Biz」に協力的なのも、理解できる話だ。

 一方で、かけ声は大きくても時差出勤がなかなか普及しない問題として、企業側の仕事のあり方がある。フレックスタイム制はなかなか広まらず、裁量労働制は仕事量の多い職場で適用される傾向がある。終業時間は企業側が固定するにしても、早い時間帯に出社した人に残業代を支払う制度を設けていない会社もある。ましてや、横並びを大事にするこの国では、早い時間帯に来て早く帰る人や、遅く来て遅く帰る人は、なかなか認められないのではないか。

 単純に「朝がつらい」から時差出勤が世の中一般に普及しないだけではなく、働き方の問題も大きい。時差出勤の課題は、鉄道と行政だけではなく、多くの一般企業を巻き込むことが重要だ。その意味では、賛同する会社がもっと増え、快適な通勤、快適な働き方を促すような社会になることを期待したい。

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