主要取引先に依存する経営への“警鐘” そごう倒産で破綻に追い込まれたアパレル企業に学ぶあなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る(9)(2/4 ページ)

» 2019年09月03日 05時00分 公開
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そごう倒産で業績悪化 飲まざるを得なかった「不利な条件」

 ところが、2000年7月に最大の得意先であった百貨店のそごうグループが民事再生法の適用を申請。蓼科にオープンした「蓼科高原バラクライングリッシュガーデン」の入場者数も好調に推移していたなかでの、突然の出来事だった。

 そごうという主力得意先が倒産した影響で、アパレル事業の業績は大幅に悪化する。そごうとの取引がいかに重要かは、従業員の共通認識だったはずだ。それだけにそごうの倒産がショッキングだったことは想像に難くない。この屋台骨を揺るがす事態に、従業員は誰もが危機感を高めたことだろう。裏を返せば、これは一つの主要取引先に売り上げを依存する経営の危険性を示しており、同様の事態はどんな企業にも起こりうる。

 光和創芸の経営陣も、この由々しき事態を重く受け止めた。そこで当時のメインバンクに支援を要請し、金融機関の支援を受けると同時に、多くの取引先に手形の支払い期日延期などの協力を得て一時的に窮地を脱した。しかし一部の取引先から、手形の支払い期日延期などを協力した見返りに、取引の拡大を求められる。なかには不当に高額な代金の支払いを求められるケースもあった。

 01年2月期には、年売上高こそ直近のピークとなる約18億3000万円を計上するが、収益は圧迫されていた。一部取引先は「収益が悪化していたことで、与信枠の縮小に踏み切った」とコメントしている。

phot そごう横浜店の外観(Wikipediaより)

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