お客の利便性向上や人材難に対応するため、小売り・外食チェーンでは店舗の“ハイテク化”を進めている。さまざまなアプリと店舗サービスを連動させたり、これまで従業員が行ってきた作業を機械などに行わせたりといったことが柱だ。
小売り・外食チェーンを取材していると、ハイテク化を進めれば進めるほど、最新テクノロジーについていけない高齢者へのケアが課題になりつつあることが見えてきた。
大手回転寿司チェーン「無添くら寿司」を運営するくら寿司は、7月16日からスマートフォンを活用した新サービス「スマホdeくら」を開始している。
このサービスは、お客の利便性向上と従業員のオペレーション軽減が目的。例えば、座席を時間指定予約できる「スマホでテーブル予約」は、スマホと店舗の受付にある自動案内機と連動させることで、お客をよりスムーズに座席へ案内させることを目指している。また、くら寿司は、お客が席に着いたタイミングでスムーズな商品提供が可能となる「スマホで注文」や、これまで電話受付だけだった持ち帰り予約をスマホで可能にした「スマホでお持ち帰り」などのサービスも打ち出した。
くら寿司ではこういった新サービスを導入することで、1組当たり約5分の滞在時間短縮が可能になるとしている。従業員は注文をとるといった行為から解放され、別のサービスに集中できるメリットもある。
くら寿司は、テーブルにある皿回収ポケットに皿を投入すると水流によって皿が自動的に洗い場まで運ばれる「水回収システム」や、テーブルごとのタッチパネルから注文できるサービスを取り入れてきた。オペレーションの自動化が進むに従って、各店舗の余剰人員はほとんどいない状態になっている。そんな中でさらなる業務効率化を推進する目的は何だろうか。
くら寿司を運営するくらコーポレーションの田中信副社長は、その理由の1つとして「高齢のお客さまへの接客時間に振り向けるため」と説明する。さまざまな新サービスを導入しても、高齢のお客は「使い方が分からない」と困惑することがある。そこで、従業員が説明する必要性が高まっているというわけだ。
ライバルのスシローも、先端技術を盛り込んだ「次世代型スシロー店舗」を、6月26日にオープンしている。同店舗には自動受付・案内システムやセルフレジを導入している。幅広い客層に利用される回転寿司チェーンで、同様の動きが加速するのはほぼ確実だ。
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