米金融大手のシティグループも、声紋認証を導入している。特にアジア地域に力を入れており、台湾や香港、シンガポール、オーストラリア、フィリピン、マレーシア、ベトナム、タイ、インドで、声紋認証のサービスを提供している。
米大手カード会社のディスカバーも導入している企業の一つ。同社の場合は、利用者の声を録音するのではなく、すでに知られている詐欺師などの声紋データを登録しており、それが検知されたら、実際の利用者にコードを送り、リアルタイムでそのコードを知らせるよう求める。こうした対策により、ここ4年で詐欺行為による損失は10%も減少したという。
こうした声紋認証技術は進化を続けており、AI(人工知能)を使って、利用者の心理状況も声から認識し、例えば、誰かに脅迫されながら電話をしている場合も察知できるようになるという。
声紋を使うのは金融機関だけではない。医療分野でも活用が期待されている。というのも、パーキンソン病や認知症、うつ病などの進行状況を知るのに声が役立つという。話す言葉のスピードなどによっても患者の健康状態が判定できるとする専門家もいる。
他の分野でも使われている。例えば少し前の話だが、スペインでは、06年に首都マドリードの空港の駐車場で自動車爆弾によるテロ事件が起きているが、首謀者の1人は声認証で特定されている。今後はさらに犯罪対策にも活用するべく、いわゆる110番への電話で個人を自動的に特定できないかという話もあるという。
こんな例もある。南アフリカの社会保障局(SASSA)は、社会保障費を2度受け取ろうとする詐欺行為を撲滅するために、声紋認証を取り入れている。その試みは成功しており、二重取りをしていた65万人の不正登録を見破り、2億ドル以上をセーブできた。
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