では、販売・サービス系の仕事で接客スキルをひたすら磨いた人の、異業種への転身は依然として難しいのだろうか。大浦編集長は「もちろん、それらの業界が従業員に長く働いてもらえるモデルを作っていくことが重要。ただ、彼女たちのスキルを細かく“棚卸し”することで次の転職につなげることも可能だ」と考える。
例えば、アパレルではECサイトの発達で実店舗が縮小傾向にあり、そこの販売スタッフには単にモノを売る以上の、「店に立ち寄った人の気分に合わせて買ってもらえそうな服を提案する」、いわば営業的な技術が求められてきている、と大浦編集長はみる。こうした経験やスキルが、異業種への転職活動で生きてくる可能性があるという。
また、接客業務の出身者がいきなり法人営業職を目指さず、まずは個人向けの保険販売やインサイドセールス(メールや電話で顧客にアプローチする営業)、コールセンターといったBtoCに近い仕事にまず就き、経験を重ねることも有効とみる。「自分のキャリアの要素を分解してみれば、必ず他業界で使えるスキルは見つかる。まずはそういったステップを理解して、転職の段階を踏んでいくことが大事」(大浦編集長)。
どうしても個人のキャリア選択や能力不足の問題として片付けられやすい、こうした接客系出身者の転職問題。ただ、空前の人手不足を背景に、企業側も先入観に従って採用を判断するより、「彼女たちが個別に持つスキルをどう生かせるか」に着目した方が、企業・転職者双方の幸福なマッチングにつながるのかもしれない。
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