「確実に座れる」私鉄特急が人気、一方で課題も遠距離通勤の味方(2/4 ページ)

» 2019年08月29日 07時37分 公開
[小林拓矢ITmedia]

遠距離通勤の課題

 特急列車やライナー列車が一般的になる前は、遠距離通勤は「大変だ」というイメージしか持たれなかった。しかしその状況が改善されても、課題は残る。通勤定期代は会社が出してくれても、特急やライナー料金まで出してくれるところは少ない。また、朝時間帯の特急は、ピークタイムより早い時間に都心の駅に着くケースが多く、そうすると出発時間が早くなり、早起きの必要性が出てくる。

 こうした課題を解決するために、小田急のように複々線化に力を入れる鉄道会社もある。ただし、ピークタイムに新宿着の特急列車は、なかなか設定できない。一般の通勤列車でダイヤがいっぱいだからだ。

 もし早朝の特急列車を逃せば、通勤ラッシュの中、電車に乗って通わなければならない。遠距離の場合、始発だと座れる可能性が高いものの、そのためには並ばなくてはならない。このあたりの問題も、まだまだ解決できていない。

(写真提供:ゲッティイメージズ)

 鉄道各社、特に私鉄は、沿線を中心に不動産開発なども行っており、鉄道の利便性をアピールする。しかし、住宅地の開発が先行し、鉄道の改善は後回しにされてきた傾向がある。

 一般的に遠距離通勤の場合、帰宅時も課題がある。夕方、特急やライナー列車も比較的多く運行されているものの、それに乗れない、あるいはタイミングが合わない場合は、やはり普通の電車に乗らなければならない。こういった場合、頭が仕事モードからなかなか切り替えられないこともあるだろう。特に混んでいて座れない場合は、本なども取り出すことができず、スマホの画面を見ながら、会社のメールなどをチェックしてしまう。メールくらいは返せてしまうだけの時間はあるのだ。

 そのあたりは、特急やライナー列車の増発という方法で解決しようとしている。

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