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ワーキングマザーを“戦力外”にするな 企業の「小1の壁」「小4の壁」の乗り越え方人材流出を防ぐために(2/4 ページ)

» 2019年08月30日 07時00分 公開
[砂川和泉パーソル総合研究所]
株式会社パーソル総合研究所

小学校入学も「子どもへのケア」理由に離職

 ワーキングマザーがどのような理由で辞めているかをデータで確認してみましょう。パーソル総合研究所が実施した「ワーキングマザー調査」で正社員を辞めた理由を見ると、子どもの年齢によって特徴が見られました(図2)。

 ※調査内では「正社員」として聴取しているため、ここからは「正規職員」ではなく「正社員」と表記しています。

 子どもが3歳未満だったときの離職は「家族のサポート不足」、子どもが3歳以上の未就学児だったときの離職は、職場の理解不足や迷惑を掛けていることによる肩身の狭さといった「職場での居場所感の欠如」、子どもが小学生になってからの離職は、休みのとりづらさや残業の多さと言った「働き方の問題」と「子どもの教育・精神的ケアの問題」が特徴となっていました。

 また、勤務時間や休みのとりづらさは子どもの年齢に関わらず主な離職理由となっている他、「体力がもたない」ことを理由とした離職も子どもの年齢とともに増えており、子どもの年齢とともに親の年齢もあがるなか、体力的にも大変な状況で辞めていることがうかがえます。

photo 図2:正社員を辞めた理由(離職時の第1子年齢別。ベース:小学生以下の子どもがいる正社員を辞めた女性)

 ここで着目したいのは、子どもが小学生になってからも、子どもの教育や精神的ケアといった子どものケアの問題で離職していることです。勤務時間や休みのとりづらさを離職理由としている人も半数以上を占めることから、働き方の問題で子どもに十分なケアができないと感じられている状況がうかがえます。せっかく復帰して乳幼児期を乗り切った子育て社員が子育てとの両立の問題で辞めざるを得ないのは、本人にとっても企業にとっても残念なことです。

 両立困難というと子どもが未就学児の頃をイメージしがちで、小学生になってからは手がかからないと思われがちです。では、子どもが小学校にあがると、どのような問題が両立の支障となっているのでしょうか。

 子どもが小学校にあがる際に直面する課題は、「小1の壁」と名付けられています。多くの企業で短時間勤務制度が適用されなくなる一方で、学童の預かり時間は保育園よりも短く、学童に入ることすら難しい状況が待ち受けています。夏休みの預け先確保も仕事との両立の観点から大きな悩みの種であり、学級閉鎖や平日昼間のPTA活動参加などでも仕事を休むことを余儀なくされます。こうした子どもの預け先の問題や休みの必要性に加えて、毎日の帰宅後には、音読や計算の宿題をみたり、友達関係をフォローする精神的ケアも必要になったりと、仕事と子育てとの両立が保育園時代よりも難しくなる問題が「小1の壁」です。

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