また、小4になると、「小4の壁」なるものも存在します。小4で直面する壁には、学童の受け入れにあたって小3以下が優先されるために放課後の子どもの預け先がなくなること、そして、小4になると急に勉強が難しくなることで親のフォローが必要になること、という2つの側面があります。小4になると塾通いを始めたり、1人で帰宅や留守番ができる子も増えますが、子どもによっては難しいこともあるでしょう。勉強面も子どもによって差はあるものの、親が勉強をみたり、親子のコミュニケーションが求められるなど、ある程度の時間が必要になってきます。
こうした問題を背景として、図2に示したように、勤務時間や休みのとりづらさ、子どもの教育や精神的ケアを理由とした離職に至っていると考えられます。企業としては、子どもが大きくなっても手がかかることを理解し、残業免除を含む勤務時間の短縮を選択肢として認めることが必要です。
長期にわたる短時間勤務には、現場の負荷増大に加えて、女性本人のキャリアへの影響や所得のロスというデメリットもあります。働き方改革が進み、残業削減や男性の家事育児参画が進めば、中長期的には短時間勤務制度は不要になるかもしれません。しかし、自身の「体力がもたない」オーバーワーク状況で辞めている現状を鑑みると、勤務時間をセーブすることは目下の現実的な選択肢の1つとして一考に値するでしょう。
では、子どもが何歳になるまで短時間勤務を認めればよいのでしょうか。
3歳未満の子どもを育てている従業員への短時間勤務制度を設けることは法律で義務化されていますが、法定以上の期間にわたって短時間勤務を認めている企業も多くあります。
育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度がある事業所のうち、約75%が子どもの就学前までに限定しています(図3)。しかし、小1や小4の壁があることを考えると、セーフティネットとして不本意な離職を防ぐという観点では、就学後の短時間勤務も必要です。
正社員を辞めたあとも子どもの年齢に関わらず半数以上が働いていることからも、柔軟な働き方を認めることが就業継続につながる可能性があります(図4)。やむなく離職したとしても、短時間勤務ができる職場であれば、1度辞めた社員も復職できる可能性が高まるでしょう。
Copyright © PERSOL RESEARCH AND CONSULTING Co., Ltd.All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング