効率化を進めすぎた結果、一緒に働く人たちに対して関心を持つことができなくなったチームはもろく弱いものです。もはやチームとはいえない、ただの集団といってもいいでしょう。
チームの仲間がどんな人たちなのか知らなければ、たとえ誰かが困っていても手を差し伸べることはないし、助けるにしてもメリット・デメリットで考えるようになります。そうなると誰かに助けを求めることさえ難しく、積み重なっていく業務に対して1人きりで残業や休日出勤といった長時間労働で対処するしかなくなります。
優秀な人にしてみても、仕事を効率化して早く成果を上げれば評価される一方で、さらなる成果を求められるようになります。仕事ができる人に仕事が集中するのは、よくある事象です。時間にゆとりができたら休むのではなく、また別の仕事が入ってくるだけだとしたら、他の人に構ってる暇はありません。
そうなってしまうと個々人は、自分のことは自分で守るしかなくなります。さらに同僚との関係に線を引いて、お互いに最低限のかかわりしか持たなくなり、ますますチームワークが機能しなくなっていくのです。
もし、子どもが熱を出して急に休むことになったメンバーがいたときに、家族構成や事情を知らなかったら「とはいえ、この忙しいときに休むなんて!」と思ってしまうかもしれません。ですが、そのお子さんのことを知っていたら「○○ちゃん大丈夫かなぁ、お大事に!」と心から思うことができるでしょう。
成果だけを求めるチームで、個人ごとの競争が推奨されている雰囲気の中では、仲間に気軽に相談することは難しいでしょう。
困ったことがあっても、相談したい相手が忙しそうにしていれば話しかけることをためらってしまいます。たとえ相談できたとしても、その人の時間を奪うことになるため、とても申し訳ない気持ちになります。
このように相談までの心理的なハードルが高くなると、なるべく相談しないで済ませようと考えてしまっても仕方ありません。
それに普段から話したこともないような相手だと、相談の前に声をかけることすら
緊張するものです。「こんなことなら、わざわざ相談しなくていいかな……」と、言
い訳を考えてしまいます。
それでも緊張するからといって、相談しないと進まない仕事もたくさんあるはずです。仕事の中身で悩むならいざ知らず、「相談しようか?」「相談しても大丈夫か?」と悩んでしまう時間は、非常に無駄でもったいないことです。とはいえ、それに対して「強い気持ちを持って相談して!」というのは酷なアドバイスですよね。
相談ができないと、大きな手戻りが発生する、聞けば一瞬でわかることに時間をかけて調べてしまうなど、チームの生産性を下げることになってしまいます。相談できないことは個人の問題ではなく、チームの問題なのです。
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