この記事は、倉貫義人氏の著書『ザッソウ 結果を出すチームの習慣 ホウレンソウに代わる「雑談+相談」』(日本能率協会マネジメントセンター刊)より転載、編集しています。
効率化を進めて情報共有もしっかりしているのに、チームの雰囲気は重く、思ったように成果が上がっていないとしたら、チームワークを支える雑談と相談が足りていないのかもしれません。今回は、今どきの仕事における雑談と相談の重要性について紹介します。
「高い生産性を実現するために努力を続けてきた」
「チームの成果を高めるために情報共有をしてきた」
「部下ひとり一人と向き合って目標管理をし、モチベーションを高めてきた」
「残業もいとわず自分の仕事と管理の仕事を両立し、チームの効率化を図ってきた」
そこまでして効率化を実現したものの、ある程度以上の成果を出すことができなくなり、頭打ちになってしまうことがあります。
むしろ、どんどん効率化を進めていく中で、それまでチームにあった「ゆとり」のようなものがなくなっていき、なんとも息苦しい職場になってしまったということはありませんか?
とはいえ効率化によって、そこそこの成果を出すことができているので一概にダメともいえません。しかし、その状態を放置したままでいると、いずれチームは崩壊してしまうかもしれないのです。ひたすら効率化だけを求めたチームはどうなってしまうのでしょうか。
かつての日本企業は、仕事をして成果を上げるためだけの場所というよりも、仕事を通じて人間関係を構築する場でもありました。終身雇用が前提の社会において、人生のうちの長い時間をすごすのであれば和気あいあいとした職場の方が良かったのです。
それが社会の変化と組織の成熟とともに成果主義の時代へと変わります。個人ごとの目標管理の制度が定められ、大量生産と分業化が進み、組織はどんどん縦割りになり、個々人の役割は細分化され、厳密に定義された職務内容や社内規定の中で与えられた仕事に取り組むことが良しとされるようになりました。そのうえ、だんだんと社員旅行や運動会など社員同士が交流する機会も減っていきました。
会社が社員を使っていかに経済規模を拡大させるのかを優先して考えるようになれば、社員も仕事など金を稼ぐための手段にすぎないと割りきるようになってしまいます。なんとも冷めた関係ですよね。
仕事を進めるうえでの情報共有だけはしていても、成果に直結しない話をする余裕もなければ、一緒に働いている人たちがどんな人たちなのかを知る機会もなくなってしまいます。そんな人間関係が希薄な職場だとしたら、他にもっと良さそうな会社があれば簡単に転職してしまうでしょう。
組織が経済合理性だけを求めると、そこで働く個人も経済合理性だけを求めるようになっても仕方がないのです。
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