ワークマンは9月5日、「2019年秋冬新製品発表会」を行った。これに伴い、雨や風、雪といった過酷な状況を再現して行うファッションショー「過酷ファッションショー」も初めて開催した。
近年、ワークマンは現場作業者に向けて提供してきた商品の販路を、一般客向けにも展開し始めている。18年には、一般客向けにレイアウト等を工夫した新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」を出店。開店初日には、同社の持つ開店セールの売り上げ記録を3倍近く更新するなど、大きな反響があった。発表会では、ワークマンプラスを20年までに167店舗展開するという目標が明らかにされた。
発表会に登壇した土屋哲雄専務は、好調の背景として「商品の98%以上を定価で販売していること」「ワークマンとワークマンプラスで扱っている商品は全て同じものなので、コストが高くならないこと」「商品の原価率が平均して64%であり、コストパフォーマンスに優れていること」の3つを挙げた。この3つを基軸に、新たに掲げた「機能と価格に新基準」というスローガンの下、さらなる成長を目指す。
今後はインフルエンサーを使ったマーケティングにも注力する。ワークマンは、作業着がメイン商品であるという特質上、拡大を見せるキャンプやアウトドアなどカジュアル路線でのニーズに対するノウハウをあまり持っていなかった。
そこで、SNSに注目。当初は調理場などで使われるものとして販売していた安全靴が、「滑りにくい」という点からレインシューズとして利用されているケースを発見した。他にも「気付かない・想定していないあらゆるシーンで商品が活用されていた」(開発担当者)ことが分かった。他にも、発信力のあるブロガーが、キャンプでワークマンの商品を活用していたことなどもあり、インフルエンサーを活用した戦略を策定した。
発表会も、メディア向けに行うものとは別に、インフルエンサー向けのものを開催する。インフルエンサーは「商品開発アンバサダー」と呼ばれ、現在15人ほどの規模を20年中には50人ほどに増員し、商品の企画などを依頼していくという。
アンバサダーとの共同開発は先行して行っている。「ワークマン女子」と称して女性ファンの取り込みにも注力し、主に女性目線からのアドバイスを吸収している。
既に販売している「綿アノラックパーカー」(税込1866円)は、もともと「ヤッケ」という名前で売り出すことを検討していた。しかし、ヤッケという名前は知名度が低く、同様の商品がアウトドアグッズとしては「アノラックパーカー」という名称で販売されていることを商品開発アンバサダーから知らされ、名前を変更した。また、当初はファスナーが胸の部分までしかなかった。しかし、ファスナーを一番下まで下ろすことができないと、女性は着脱の手間がかかる。また、着たり脱いだりするときに髪の毛がぼさぼさになってしまう。こうした商品開発アンバサダーからの意見を受け、ファスナーを延長し、着脱しやすいようにした。
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