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» 2019年09月11日 07時00分 公開

お茶屋さんのかき氷に行列:観光客を呼べなかった「静岡のお茶」が、若い女性を引き付けている理由 (5/5)

[加納由希絵,ITmedia]
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直感的に「新しい」「面白い」と感じてもらう

 他の取り組みとしては、静岡市内の飲食店10店舗でお茶を使ったカクテルを提供する「宵茶」プロジェクトを7月から開始。お茶割りのようなものではなく、茶葉をアルコールに漬け込んで香り付けしたオリジナルのリキュールを開発した。それを飲食店に提案し、メニューに加えてもらう。

 茶師の監修のもと開発したリキュールは本格的だ。例えば、ほうじ茶を黒糖焼酎で3日かけて抽出したリキュールを使った「ほうじ茶ジンジャーハイ」、和紅茶を漬け込んだウイスキーをソーダで割った「和紅茶×ハイボール」、ウォッカに焙煎ウーロン茶を漬けたリキュールの水割り「焙煎烏龍ショット」。8月までの2カ月で約5000杯の注文があったという。10月からは、参加店舗を20店舗に拡大する予定だ。

「宵茶」ではお茶を使ったオリジナルカクテルを提供

 このように、するが企画観光局ではさまざまな取り組みを企画しているが、全てが成功しているわけではない。18年冬には、静岡のお茶を使ったお茶漬けを提供する「茶米」を実施したが、あまり浸透しなかった。「かき氷ほどの分かりやすさがなく、観光という意味で波及しにくいコンテンツでした」と、鈴木杏佳さんは振り返る。お茶漬けそのものが観光の目的になりにくく、写真を撮りたいという人も多くはなかった。「1万円のお茶漬け」などの商品が話題にはなったが、「お茶を楽しむ間口を広げる」という役割は担えなかった。

 試行錯誤を重ねながら、今後も取り組みを広げていく考えだ。八木さんは「まずは直感的に『新しい』『面白い』と思ってもらうことが必要なんです」と強調する。その先に、お茶について学んだり、実際に購入して自分でお茶をいれたりする行動が伴ってくる。お茶の知識がない人でも興味を持つようなコンテンツを求めている。写真映えやSNSを意識するのも、直感的に「いいな」と思ってもらい、お茶の入り口まで来てもらうことが目的だ。

 生産量日本一の素材を磨いて“観光コンテンツ”として定着させ、新しい消費を生み、業界を変えていく――。それがこの取り組みの大きな目標だという。新しいものを一から生み出すことだけが方法ではない。地域に根付いてきたものでも、見せ方や提供の仕方を変えれば、新しい層を取り込むコンテンツになる。他の地域や商品にとっても、参考になる事例だろう。

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