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» 2019年09月17日 06時00分 公開

部下を育てられない“日本のダメ上司”が必ず陥るワナ――元GE「リーダー育成専門家」が斬る世界基準の部下育成法とは?(2/4 ページ)

[田口力,ITmedia]

管理職が陥る「バイアス」のメカニズム

 このバイアスを生み出す原因は、私たちの脳が無意識のうちに、直観的な意思決定と意識的・論理的な意思決定を使い分けてしまうという作用が働くからです。一例を挙げてみましょう。

photo 世界レベルの部下育成、ひいてはリーダー育成論についてまとめた『世界基準の「部下の育て方」 「モチベーション」から「エンゲージメント」へ』(KADOKAWA)。著者の田口 力(たぐち ちから)氏は1960年、茨城県生まれ。83年早稲田大学卒業。元GEクロトンビル・アジアパシフィック プログラム・マネジャー。株式会社TLCO代表取締役。上智大学グローバル教育センター非常勤講師。GE在籍時は世界最高のリーダー育成機関として知られる「クロトンビル」で、日本人として唯一リーダーシップ研修を任される。日本・アジア太平洋地域の経営幹部育成プログラム責任者として研修を企画・開発・実施。講師としては10年から4年間、研修参加者からの評価点では連続世界一の実績を持つ。著書に『世界最高のリーダー育成機関で幹部候補だけに教えられている仕事の基本』『マインドフル・リーダーシップ』『世界最高のリーダー育成機関で幹部候補だけに教えられているプレゼンの基本』(いずれもKADOKAWA)など

 同じような営業の仕事をしている部下が2人いたとして、それぞれが挙げた営業成績が数値として示されたとします。客観的な数値を比較して、二人の部下の評価を決めようとしても、私たちの脳は必ずしも全ての情報を公平に扱ってくれるとは限らないのです。

 例えばA君という部下は、企画会議などであなたの意見にいつも賛成し、後押しをするような発言をしているとします。一方B君は、時にあなたの意見と対立するような発言をしますが、それはとてもまともな正論だとします。

 あなたの無意識下にある感情レベルでは、どちらかと言えばA君に対して好意を持ち、B君に対しては敵意とまでは言いませんが、あまり好ましくない印象を持ってしまいます。その結果、この印象の差がバイアスとなり、A君の評価を高くしてしまいがちです。

 例えば客観的な数値として表れた2人の営業成績が同じであったとしても、「A君は頑張った」「B君はたまたま環境が良かった」などと、2人の評価に差をつけることを正当化する情報を、後付けで探し始めてしまいます。

 部下育成を考えるときにも、このバイアスの問題は1つの大きな焦点になります。日頃、同じ職場でよく接している部下と、自分とは異なる事業所に勤務していてあまり接する機会のない部下がいる場合、善きにつけ悪しきにつけバイアスがかかります。また、同じ職場にいる部下たちについても、さまざまなバイアスによって公平に育成計画を作成することは難しくなります。

 人はどうしてもバイアスによって人を評価してしまい、その育成においても濃淡が出てしまいます。自分が何かしらのバイアスにとらわれていないか、チェックしてみてください。

 このバイアスの影響を極力少なくするためには、できる限り客観的に育成ニーズ(デベロップメント・ニーズ)などを評価できるような仕組みやフレームワークが必要になります。

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