鈴木: 一方、堀江さんの友人は便潜血検査を受けて大腸がんの治療に至ったこともありましたよね。
堀江: そう。予防医療普及協会で「プ」という大腸がん予防キャンペーンをやっているという話を、久しぶりに会った僕の同級生に言ったら検診を受けたらしくて。そうしたら本当に大腸がんのステージIだった。それで腹腔鏡手術をして何とかがんが治った。これは2年半ほど前のことなのですが、まだ再発はしていないと言っていました。とにかく、びっくりするくらい多くの人が病院に行かない。
鈴木: 症状がないからですよね。
堀江: そう思う。こういう人たちというのは、症状がなければ絶対病院に行かない。僕たちが何をしようが行かない。
予防医療普及協会は、そうした人たちがどうやったら検診に行くようになるかを緻密に考えている。ゲーミフィケーションによって、人が能動的に検診に行ったり検査をしたりする仕組みをいかに作るかを考えています。つまり、正攻法では絶対に無理。「検診を受けたほうがいいんだよ」と言ったところで、そういう人たちには全く響かない。だから仕組み作りこそが大事。
鈴木: 半分強制みたいにしないといけない?
堀江: 半分強制でやらないと、これは絶対に改善しないと思う。だから若い人の胃がんの死亡者数を1000人よりも減らそうとすると、中学生のピロリ菌検査のような取り組みしかない。でも、政治家がビビるんですよね。メリットよりも科学的根拠のないデメリットを過剰にあおる人たちがいるので、そういう人たちはやっぱり声が大きいから。
鈴木: 大きな「壁」ですよね。
堀江: そうそう。だからそこは政治家が決断しなければいけない。僕たちも最近の活動では、政治への関与度合いをかなり増やしています。
鈴木: 中学生のピロリ菌除菌に対する反対意見も確かに出ています。ただ、こんなことを言っていると本当に先に進めない。だからこのあたりは学会などが主導して行くしかないと思っています。
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