鈴木: アンジェリーナ・ジョリーが乳がんになりやすいかを調べる「BRCA」という遺伝子に変異があるかを調べる検査をしたのも、今と同じような話ですね。最近の研究で膵臓がんも大体10%弱はそのBRCAという遺伝子が関与していることが分かっているのです。
堀江: 僕自身も含めてだけど、膵臓がんはなかなか防げない。でも逆に言うと、防げるがんというのもあるので、それは防ぎましょうね、と言うこと。
鈴木: その通りですね。そこでピロリ菌の話です。皆さんはもうご存じだと思いますが、ピロリ菌は胃がんの原因だということが分かっています。ピロリ菌は目には見えないくらい小さいのですが、べん毛といった尻尾がついていて、胃の中をかなりの早さで移動しています。
ピロリ菌に感染すると、既に20歳の段階で「鳥肌胃炎」というざらざらした胃粘膜が見られます。これが50年ぐらい経過して70代になると、ひだが全てなくなってしまう。ピロリ菌はこうやって徐々に炎症を繰り返すのです。
特に日本のピロリ菌はたちが悪いことが分かっていて、アンモニアや強い毒素を出したり、針みたいなものを胃の細胞に注入して、毒素を細胞の中にも入れているのです。
こういったことが重なって胃がんになってしまう。もちろんすぐに胃がんにはならないのですが、ピロリ菌は大体5歳ぐらいまでに感染するといわれていて、それが40年、50年、60年たってがんになるのです。
実は今の若い方にはほとんどピロリ菌はいませんが、60〜70代の方は半分ぐらいの方が感染されています。昔に比べてやはり衛生環境が非常に良くなっているので、若い人の胃にはほとんどいないということです。堀江さんもいなかったですよね。
堀江: 僕は、はい。いなかったですね。
鈴木: 実は僕の胃にはいました。除菌はしましたけど。
では、どこからピロリ菌が入るのか。基本的には口の中から入ります。ですので、やはり親から移るのが一番多くて、母親からが7割ぐらいといわれています。だからもし皆さんが陽性だったら、お母さんも調べたほうがいいし、兄弟も調べたほうがいいですね。
どうやって調べるか。基本的には、症状があれば病院で胃カメラを飲んで調べられるのですが、病院に行きたくないという方は、自治体がやっている「リスク検診」や、予防医療普及協会でもやっている、尿で抗体を調べる「郵送キット」が4000円ぐらいで購入できます。
もしピロリ菌検査で陽性だったら、抗生剤を1週間飲んで除菌する必要があります。除菌後の注意点は3つあります。1つは、除菌がうまくいったかどうかを必ずチェックすること。2つ目は除菌だけでは胃がんのリスクはゼロにはならないので、必ず胃がん検診も併用すること。3つ目は、ぜひ親兄弟にもピロリ菌検査を勧めるということです。
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