ホリエモンが「ピロリ菌検査」と「HPVワクチン」を推進し続ける真意堀江貴文が語る「予防医療」(2/8 ページ)

» 2019年09月20日 07時45分 公開
[今野大一ITmedia]
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早期発見が難しい膵臓がん

鈴木: これは、この前がんセンターが発表した、がんの部位別5年生存率です。堀江さん、これをどう見ますか? 食道がん、肺がん、乳がん、胃がんなどいろいろありますが、一番下の前立腺がんというのは、ステージがIからIIIで、ほぼ100%です。一方、膵臓がんではI期でも43%、III期になれば6%しかありません。

 この表から分かるのは「いかに早期で見つけられるかが重要」ということです。そういった意味では、やはり「検診しかない」というのが、私たちが提言したいことです。医学がどんどん発達して、いずれがんを撲滅できるかもしれませんが、それはまだかなり先の話です。現状では、せめてI期・II期で見つからないと、助からないということです。

phot がんの部位別5年生存率(国立がんセンター資料より鈴木医師作成)

堀江: 膵臓がんに関しては、予防がなかなか難しい。お酒を飲まなければ膵臓がんにならないかというとそうではなくて、確かにお酒を飲んで慢性膵炎を繰り返す方がリスクは高まるのだろうけれども、飲まなければがんにならないかというと、そうはならない。僕たちの活動の範ちゅう外ではあるけれど、いずれ何らかの取り組みをしなければいけないとは思っています。

 実は僕らが出している予防医療の本『健康の結論』(KADOKAWA)でも膵臓がんの話をしていますが、専門の先生と話をしても、「早期にがんを発見しても難しい」「早期発見しても(病変の一部を採って、顕微鏡で詳しく調べる)生検組織診断をするだけでもリスクが上がる可能性がある」と言う声を聞きます。

 膵臓は消化液を作るところで、胃のように大きな壁みたいなものがないので、すぐに腹膜の中にがん細胞が飛び散ってしまうということがあり、なかなか難しいらしい。

 この間、専門の先生から「いいアイデアですね」と言われたのですが、膵臓を何かしらの人工的な膜でコーティングするというアイデアを出したら、「いけるかもしれない」と言われて、ちょっと希望が出てきたな、とは感じました。

鈴木: 膵臓を覆ってしまうわけですね。

堀江: そう。術式も内視鏡で胃に穴を開けて、そこから腹腔内に内視鏡を入れて、膵臓にアプローチして膵臓をコーティングするという方法です。例えば、がん抑制遺伝子が欠損している、膵臓がんなどのリスクが高い人たちは、そういう対策を予防的にしておくと、万が一、膵臓にがんができたときにも、その膜ごと摘出するようなことをすれば、転移のリスクも低くなるのではないか、という話をしていました。

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