8月10日、東京都内のTOC五反田メッセにて、「自費診療」をテーマにして医科・歯科を横断する「自費研フェスティバル2019」が開催され、一般社団法人「予防医療普及協会」の理事を務めるホリエモンこと、堀江貴文氏と同協会の顧問である鈴木英雄医師との「予防医療のミライ」と題した対談が実施された。
堀江氏がさまざまな困難を乗り越えながら、「ピロリ菌検査」と、子宮頸がんを予防するための「HPVワクチン」を推進し続ける理由が語られ、政治的決断がなされない政治の不作為など、日本の医療の問題点が浮き彫りになった。前後編で迫る。
鈴木: 私たち予防医療普及協会は、主にがんをはじめとするさまざまな疾患を予防する正しい知識の普及に関する活動をしています。胃がんから始まって大腸がん、子宮頸がんなどを中心に活動してきました。
堀江: 何でそこからやっているかというと、啓発しやすいし成果が見えやすいからですよね。
鈴木: その通りです。何で堀江さんが予防医療の普及啓発活動をしているのかと皆さん思っていると思います。その趣旨は「防げるがんがある」ということなんですね。がんの原因はいろいろありますが、細菌とウイルスが原因の場合、それらに感染しなければがんにはならない、という事実があまりにも一般の方々に知られていない。
細菌によるがんで代表的なものは胃がんです。これは皆さんにはもう常識だと思いますが、胃がんの99%にピロリ菌が関係しています。ウイルスによるものがヒトパピローマウイルス(HPV)です。子宮頸がんはこのHPVというウイルスが原因なのです。結局これらの細菌やウイルスに感染しなければ、胃がんも子宮頸がんもほとんどが防げるのです。堀江さん、これが私たち活動のきっかけですよね。
堀江: そうですね。
鈴木: 予防医学というのは1次予防と2次予防があります。1次予防は、そもそも病気にならないようにすること。そして2次予防は、病気になったとしても早く見つけるということです。
今日は自費研さんのイベントということで、医療費の話になりますけれども、皆さんもご存じのように、最近日本では、医療費が年々増えている状況があります。一生涯で医療費が1人どれぐらいかかるかというと、2700万円ぐらいといわれています。これは高齢化によってどんどん増えています。
一方、皆保険制度の限界もあって、抗がん剤を中心に非常に高額な薬、例えばオプジーボという薬がありますが、これは年間1000万円かかります。こういった高額な薬を、これからも日本の保険の中で賄(まかな)えるのかという問題があります。5月に保険適用となったスイス・ノバルティスの白血病治療薬「キムリア」は何と3300万円もかかるということです。アメリカでは恐ろしいことに、1回の投与で2億3000万円もかかる薬も開発されています。
もう一つの医療の問題点は、日本は医薬品の分野で圧倒的に貿易赤字になっていることです。日本人がいかに意義のある薬を数多く発明したとしても、ほとんど外資に持っていかれてしまって、日本の製薬メーカーの利益にほとんどならないという問題があります。一方、予防医療は保険の対象外です。
【訂正:2019年9月20日午後5時55分 初出の記事のタイトル「ホリエモンが「ピロリ菌検査」と「子宮頸がんHPVワクチン」を推進し続ける真意」の「子宮頸がんHPVワクチン」という用語は適切ではなく、「HPVワクチン」に訂正いたします】
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