1. 上司である自らがワクワクして仕事をしている様子を示す……上司が持っている雰囲気は、ウイルスのように部下たちに伝染する
2. 部下と正面から向き合い、関心事や価値観などの内面を知る……ビジネスライクなうわべだけの上下関係ではなく、心から部下に対して関心を寄せ、内なるニーズを見いだす
3. 好奇心を駆り立てるような挑戦的課題を与える……ブレークスルーを起こさせるようなプロジェクト、“改善”するくらいでは達成できない“改革”を必要とする取り組みなど、仕事の与え方に工夫する
部下を「鼓舞する」という取り組みは、育成の素地づくりとしてとても大切です。しかし忘れてはならないことは、その前提として「動機付け」(後述)ができているということです。まずは動機付けの観点からチェックすることを怠らないようにしてください。
ハイ・パフォーマー(高業績者)とロー・パフォーマー(低業績者)に関するアメリカでの研究結果によれば、両者の間には「Capacity」(その人が持っている能力)という観点からは大きな差はなかった、という興味深い報告がなされています。
このことを研修で伝えると、ほとんどの参加者は「信じられない」と言いたげな表情に変わります。あなたはどう思いますか。
人の能力は、大きく二つに分けて考えることができます。1つは「持っている」能力。いわば「保有能力」(Capacity)です。もう1つが、「発揮している」能力(Ability)で、この能力の部分がパフォーマンスとして認識できるものとなります。
そして、先の研究では、「ハイ・パフォーマーとは、自分が持っている能力を十分に発揮している人である」ということが結論付けられているのです。逆に業績が振るわない人は、何らかの阻害要因によって、持てる能力を十分に発揮できていない人であると言えます。
あなたの周囲に、せっかくすごい能力を持っているのに、それを十分に発揮していないと思われる人はいませんか。この問いによって、保有能力と発揮能力は異なるということを理解してもらえると思います。
業績が上がらない、あるいは仕事ができない部下を、「彼(彼女)は能力が足りないからそうなるのだ」と決めつけていませんか?
部下の業績問題を、その部下の能力不足のせいにしておけば、上司としてはその根本原因を他人の責任に転嫁しやすくなります。本人の自己啓発に対する努力が足りない。人事部の研修内容が悪い。そもそもその部下を採用した人事部が悪い。部下の保有能力が他の人より劣るのだから、OJTを行っても限界がある。従って上司である自分は悪くないし、できることはないのだ……と。
しかし、「人が保有する能力に大差はない」という前提に立つと、上司として部下に何をすべきかが明らかになってきます。それは、部下が持っている能力を十分に発揮することを阻害している要因を特定し、それを取り除いてあげることです。
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