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» 2019年09月18日 06時00分 公開

世界基準の部下育成法とは?:日本のダメ上司が部下のやる気を引き出せない“根本的理由”とは――元GE「リーダー育成専門家」が斬る (1/5)

日本企業で上司が部下のやる気を引き出せない理由を、GEで経営幹部育成に携わった筆者が解き明かす。部下の能力不足のせいにしていない?

[田口力,ITmedia]

編集部からのお知らせ:

 本記事は、GEの経営幹部育成プログラムなどを歴任した著者による『世界基準の「部下の育て方」 「モチベーション」から「エンゲージメント」へ』(著・田口力、KADOKAWA)の中から一部抜粋し、転載したものです。リーダー育成の専門家が分析した「部下のやる気の引き出し方」をお読みください。


 あなたは毎日、目覚ましのアラームが鳴る前に起きていますか。ワクワクしながら職場に向かっていますか。早く上司や同僚、部下たちと会って話がしたい、プロジェクトをどんどん進めたい、すぐにお客様を訪問して案件を進めたいなどと、ウキウキした気分で日々出勤していますか。会社の最寄り駅に着いたら思わず笑みがこぼれ、スキップを踏まんばかりに軽い足取りで会社の玄関を目指して歩いていますか。

 もしあなたの答えが「いいえ」であったとしても安心してください。その責任はあなた自身にではなく、あなたの上司にあります。あなたの上司があなたを鼓舞できていない証拠なのです。

 では次の質問です。

 冒頭の質問をあなたの部下にしたとしたら、その答えはどうなると思いますか。もし「いいえ」だと思うのでしたら、それは、あなたの責任です。

photo 日々の仕事へのやる気不足は、上司からの「鼓舞」不足かも(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

部下を「鼓舞」できない日本企業のダメ上司

 日本企業の研修でこの質問をすると、残念ながらほとんどの場合において、両方とも「いいえ」という答えが返ってきます。

 このトピックについて世界基準に照らし合わせて考えると、部下育成について次のようなことが言えます。それは、「もはや『動機付け』のステージは当たり前のこととして、焦点は『鼓舞する』ことに移っている」ということです。つまり、部下の動機付けができていることを前提として、「部下の好奇心を駆り立てて、ワクワクさせ、部下が全力を尽くせるようにする」のが上司の役割であるということです。

 GEにおいても2012年から、リーダーのミッションとして「インスパイア」(鼓舞する)というキーワードを中心に据えています。これはリーダー育成についても同様で、私が所属していたクロトンビルのミッションも「我々は、今日そして明日のGEリーダーを鼓舞し、結び付け、そして育成するために存在する」に変更されました。

 こうした大号令をクロトンビルから世界各地に向けて発信するに当たり、私は改めて「Motivate」と「Inspire」の意味を英英辞書で調べてみました。「インスパイア」は、「何かができる、特に創造的なことができるという前向きな気持ちで人の心を満たす、あるいは駆り立てる」という説明が書いてあります。一方、「モチベート」は、「人に対して、何かをするその理由を与えること」「人に何かについて興味や情熱を持たせること」という説明になります。

 英語の単語として本来持っている意味合いとしては、「インスパイア」のほうが、人の気持ちや行動に対してより積極的に関与するということになります。日本語の「鼓舞する」のほうも読んで字のごとく、「鼓つづみを打ち、舞を舞う」ことに由来し、人を励まして勢いづけることという意味になりますので、相手に対する積極的な関与を感じさせます。

 「インスパイア」を中心コンセプトとしてリーダー育成をするようになって以降、研修を行う環境整備、コンテンツ、教え方など全てが変わりました。当然、参加者の反応や満足度、そして成果にもポジティブな変化が生まれました。

 では、上司として部下育成に取り組むに当たり、部下の好奇心を駆り立ててワクワクさせる、あるいは活気を与えるためにはどうしたらよいのでしょうか。詳しくは3章で個別の方法論について述べますが、ここではポイントだけ紹介します。

 次に箇条書きするポイントはいずれも奇をてらったものではなく、ごく当たり前のことですが、当たり前にできているマネジャーは実際多くありません。

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