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» 2019年09月26日 06時00分 公開

奄美大島クルーズ誘致計画はなぜ挫折したのかクルーズ市場最前線(2/4 ページ)

[長浜和也,ITmedia]

“事実に基づいた内容”で考察する寄港誘致の問題点

 奄美大島の大型客船寄港誘致計画において、客観的な参考資料としては、第三回検討協議会でRCLが提示したプレゼンテーション資料(以下、RCL資料)と、「奄美の自然を守る会」が提示した計画反対を訴えるプレゼンテーション資料(以下、奄自資料)、そしてこの誘致計画のきっかけとなった国土交通省の「島嶼部における大型クルーズ船の寄港地開発に関する調査の結果」(以下、国交省資料)がある。

 さらに、世界自然保護基金(以下、WWF)ジャパンが2019年4月20日と21日に実施した、生物調査や地元住民に対する聞き取りの結果を踏まえた要望書(鹿児島県瀬戸内町西古見周辺海域の重要性と、大型クルーズ客船の寄港地開発見直し、及び住民参加型の保全観光利用計画づくりに関する要望)は、この寄港計画による環境影響や地域住民の意見を客観的に示した資料といえる。

 大型客船用の係留施設としては、国交省資料やRCL資料にあるように、浮桟橋もしくは鉄骨で構築する桟橋を設ける可能性が高い。ただ、国交省資料にある「総トン数22万トンの客船」を想定した桟橋の長さは180メートルとなっており、これはこれで大規模な構造物といえる。

 一方で、このような場所に寄港する場合、本船は沖に錨泊してテンダーを用いて上陸するケースが一般的である。この場合、桟橋の長さはさらに短くて済み(複数のテンダーが同時に接岸する場合でも、この3分の1で十分)、上陸に伴う入出国手続きは船内に設けた施設を用いるので数千人を収容する大規模な旅客ターミナルも不要だ。

国交省資料で示す寄港候補地評価の基となる各種条件。客船は「世界最大のクルーズ船」を想定している

 RCL資料や同社が整備してきた寄港地の実例から推察するに、寄港予定地のすぐ近くにクルーズ客専用で周囲から隔離したプライベートビーチ施設を設け、その周辺にクルーズ客専用のショッピング&レストラン施設を建設する可能性は高い。なお、RCL資料では、地元住民を雇用し、ショッピング&レストラン施設では地場製品と地場食材を扱うとしている。

RCLが第三回検討協議会で示した資料では、奄美大島寄港誘致計画に伴う整備案として、地元製品を販売するショッピング施設や地場植栽を使うレストラン、接岸用に使う浮桟橋、遊歩道、ステージなどを提案している

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