クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

果たして自動運転レベル3は、ドライバーにとって優しいのか?自動運転に対する取り組みは、メーカーによって二極化(1/5 ページ)

» 2019年10月02日 07時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

 日産自動車がスカイラインに「プロパイロット2.0」を搭載して発売したことは、レベル3の自動運転がいよいよ現実のものとなりつつあることを感じさせる。厳密にはプロパイロット2.0はレベル3には到達しておらず、ドライバーは常に前方の交通に注意を払わなくてはならないし、車線変更時にはウインカーレバーを操作するだけでなく、ステアリングを握らなければならないという制約がある。

ついに高速道路上で手放しによる自動運転が実現した。これによってドライバーの負担は軽減されたかに思えるが、レベル3の自動運転でも運転の権限はドライバーに委譲されることがある。つまり、常に自動運転を監視し、異常があればオーバーライドする責任があるのだ

 それでも高速道路上の同一車線だけでも手放し運転が可能になったことは、法整備も含めて大きな進歩だと思うが、果たしてこれがドライバーのためになるのかは、議論を呼びそうだ。というのも、レベル3の自動運転に関しては、自動車メーカーによって対応が大きく分かれるからだ。

自動運転のレベルの定義(内閣府資料より編集部作成)。人間がいなくても走行できる自動運転はレベル4(地域や空間を限定)およびレベル5(完全自動)と呼ばれる。そして、現在の自動運転が到達しようとしているレベル2とレベル3は、機械と人間のハイブリッドだ

 ちなみにSAE(米国自動車技術会)が定めた自動運転のレベルは、すべてをドライバーが操作するレベル0から、一切ドライバーが運転操作をすることがないレベル5までの6段階に分かれている。レベル1はACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール=追従機能付き巡航装置)や、LKS(レーン・キーピング・システム=車線維持支援)などが単独で機能するもので、レベル2はこれら2つ以上が協調して制御されるものだ。レベル3まではドライバーに運転の権限(=責任)があり、高速道路など限定領域での自動運転が可能となるレベル4以上は車両側に運転の権限がある。

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