「レベル3はシャープではない」。これは先日、三菱ふそうが開催した「大型トラックの自動運転技術における現在と未来」というシンポジウムで、ダイムラー・トラック・アジア副社長のアイドガン・チャックマズ氏が語ったものだ。
基本的には車両側が操舵と加減速を制御してくれるが、何か問題が起こった時、ドライバーに運転を促すレベル3は、いささか乱暴なシステムだといえないだろうか。
それが単純に直線路を巡航している状態ならまだいいが、渋滞に突入する時やクルマが割り込んできた時など、シビアなシーンでいきなりステアリングをドライバーに渡されるとすれば、慌ててしまい通常の運転操作を瞬時に行うことが難しくなるケースも考えられる。しかし、現時点での法律では、レベル3はドライバーに運転の主権があり、万が一事故を起こせばその責任はすべてドライバーに課せられるのだ。
そんな危うい不完全な印象のシステムに、ユーザーは大金を払って購入し利用するだろうか。事故の内容やシステムのエラーの状況にもよるが、事故の責任を巡って裁判にでもなれば、勝っても負けてもブランドイメージの毀損(きそん)は免れない。
そんな背景から、乗用車ではボルボが同様にレベル3は市販車には搭載しないことを明言している。しかし同じダイムラーグループでも、乗用車のメルセデス・ベンツはレベル3を投入するようだ。このあたりはライバルたるアウディなどと同様、少しでも先進性をアピールしたいブランドの事情が見え隠れする。
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